コンポジションビニル床タイルとの違いが違いがかなり微妙なところですが、前回は単層ビニル床タイルが持っている特徴について紹介をしてみました。
単層ビニル床タイルは色が鮮やかで美しいという特徴を持っていて、こうした特徴は仕上材として大きな強みだと言えるでしょう。
ただ、部屋の用途によっては、若干くすんだ色の方がマッチしているという場合もあるので、そのあたりは一概には言えないところではありますが。
ショッピングモールなどでは、やはり鮮やかな色の床仕上材が好まれる傾向になるので、こうした選択肢があるというのは非常に良いことです。
今回は引き続きビニル床タイルの細かい分類についての話を続けていき、複層ビニル床タイルの特徴について取り上げていきたいと思います。
□複層ビニル床タイル
複層ビニル床タイルというのは、先細紹介した単層ビニル床タイルと基本的には同じで、バインダーの含有率が30%以上の床仕上材を指してそう呼ばれます。
そしてこちらも同じように読んだままですが、断面がひとつの層ではなく幾つかの層になっているものが複層ビニル床タイルに分類されることになります。
断面はこのような感じになります。
この複層ビニル床タイルの特徴は、基本的に単層ビニル床タイルとほぼ同じと言えます。
・意匠性が高め
・価格はやや高め
・熱などによって伸縮しやすい
・耐摩耗性が高い
・耐薬品性が高い
・難燃性は低い(タバコに火に弱い)
複層になっている内訳は、まずは比較的厚めの下地層があり、その上に薄い仕上層があって、さらに透明なコーティング層があるのが一般的です。
単層ビニル床タイルは言ってみれば「無垢材」だから摩耗しても同じ断面だから柄が変わることはありませんが、複層ビニル床タイルの場合はそうはいきません。
しかしこうして複層になっているからこそ、石の柄や木目などをプリントした仕上層にコーティングを施す事が出来て、非常に美しい床仕上材が出来上がります。
こういう「木ではないけど木目」は好き嫌いが分かれるところなんですけど、それを言ってしまうとダイノックシートなど使えない事になってしまいます。
最近は木目とはいっても本当の木で作ることが少なくなってきていますから、別にそこまで本物にこだわらなくても良いのかなと私は考えています。
私の自宅は色々迷った結果フローリングを選んだのですが、コストとか使用していく中で出来るへこみとかを考えると、複層塩ビタイルでも良かったかも知れないと思いました。
当たり前の話ではありますが、本物の木の上に硬い何かを落とすと、やっぱり床が負けてへこんでしまうんですよね。
鍵とかを落とすと角度によっては結構ダメージが大きいです。
まあ塩ビタイルにしたらしたで「やっぱり本物の木にしておけば良かった…」とか思ってしまうのかも知れませんので、どちらが良かったかは難しいところですけども。
一昔前と比べると、今回紹介した複層ビニル床タイルの木目や石目というのは、非常に美しくなったという気がしています。
この品質であれば選んでも良いと考える方は多いはずですから、今後も設計者に選定され続ける商品であることは間違いありません。
複層ビニル床タイルのサンプル帳を眺めてみるとよく分かりますが「この中から好きが製品を選定してください」という状態になる設計者の仕事はやはり楽しいです。
もちろんもっと厳しい仕事もあるので、楽しいと言ってもいられない部分はありますけど…
床仕上材の色を選定しているだけが設計者の仕事ではありませんが、それでもこうした仕上材の選定は設計者の重要な仕事の一つであることは事実でしょう。
次回は置敷きビニル床タイルについて紹介をしていこうと思います。