床仕上材はその厚さや仕上の納まりによって、大きく分けると三種類に分類されて、それによって下地のコンクリートレベルが決まってくる事になります。
床コンクリートレベルは当然構造体である梁天端レベルにも絡んでくるので、後から「下げておくべきだった…」とならないように、慎重に検討する必要があります。
・薄くてコンクリートに直接施工する床仕上材
・ある程度厚みがあって仕上代が必要な床仕上材
・床仕上材の下に何かを仕込んでおく必要がある場合
床仕上材の分類は上記のようになっているので、今回からはそれぞれの項目について簡単に説明をしていきたいと思います。
□薄くてコンクリートに直接施工する床仕上材
これらの床仕上材は塩ビシート系やカーペットなど、あまり厚みがないものが当てはまり、床コンクリートのレベルを下げないで納めるパターンが一般的です。
ただ、いくら厚みがそれほどないとは言っても、塩ビシートは2mm程度でカーペットは6mm程度んですから、床コンクリートのレベルをどう考えるかは悩むところです。
床仕上材の天端をFL±0に設定するのであれば、塩ビシートの部分はコンクリート天端が-2mmになって、カーペットの部分は-6mmに、あくまでも図面上はそうなります。
だけど実際に現場で床コンクリートを打設する計画をする際に、ある部分でコンクリート天端が-2mmでその隣は-6mmだから4mmの段差が出来る、などということになります。
しかし実際には4mmの段差をきちんと出すことなんて出来ませんし、もし出来たとしても大変な苦労をした割にはあまり意味がないという事に気がつきます。
なので、こうした床仕上材の場合には、コンクリート天端をFL±0に設定する場合が結構あって、その場合床仕上材はコンクリート床に色々な厚さで貼っていくという考え方をします。
場合によってはコンクリート天端を-5mmにしておく場合もあるかも知れませんが、とにかく床仕上材の厚みによってコンクリート天端を微調整しないという考え方になります。
このあたりの具体的な納まりとか細かい話は、それぞれの床仕上材の項目で改めて詳しく説明していこうと思っています。
□ある程度厚みがあって仕上代が必要な床仕上材
これは石やタイルやフローリングなど、床仕上材にある程度の厚みがある場合の納まりで、施工の為に床仕上材の厚みよりも少し大きめのスペースが必要なパターンです。
こうした納まりの場合は、床仕上材そのものの厚み以外にも、施工をするために必要なスペースを確保しておく必要があります。
床仕上材の納りとしては少々検討が必要なタイプで、床仕上材の厚みと施工の為に必要な寸法を確保する計画をしておくことが求められます。
必要とされる厚みによって床コンクリートのレベルを下げる対応をしていくのですが、床仕上材の種類によってそれぞれ数値が少しずつ違っています。
一律に床コンクリートを下げるだけでは済まない、というあたりに少々手間がかかりますが、色々な床仕上材があるのに納まりが一律のはずはないですよね。
だからそれぞれの床仕上材に合わせて適切な床コンクリートのレベルを押さえておき、エリア毎にそのレベルを切替えていくという調整が必要になります。
床の構造体天端レベルを床仕上材が納まるギリギリで設定してしまうと、少し施工精度が悪い場合に納まりが厳しくなってしまう傾向にあります。
しかしだからと言って床の構造体天端レベルを低めに設定してしまうと、いざ床仕上の施工をやろうとした際に、モルタルなどで少し上げる必要が出てくる場合も。
出来るだけ施工精度による誤差に影響を受けないようにして、なおかつできる限り後で違う材料を追加するなどの余分な手間をかけないでおきたい。
余計な手間がかかるということはコストがかかるという事ですから、施工者としてはそうならないように適切な判断を求められ、腕の見せどころと言えるかも知れません。
実際にはそんなに簡単な判断ではなく、どちらに転んでも結局上手くいかなかった、みたいな場合もありますが、それでもできる限りは無駄を省く事を考えて進めていくことになります。