SRC造で鉄骨に孔をあける必要があるのは、梁の主筋だけではない、という話を前回は取り上げましたが、話が全然進みませんでした。
これではいつまで経っても話が進まないので、今回は前置き的な話はやめておき、早速具体的な説明に進んでいきたいと思います。
SRC柱の基本納まりは、鉄骨柱を芯に入れて周囲を主筋とHOOPで囲っている、というような関係になって、図面で表現すると下図のようになっています。
この断面がそのまま伸びていくと、柱として大梁に取り合う仕口部分にさしかかり、HOOPが直交する梁の鉄骨に干渉する関係になっている事が分かります。
SRC造ではコンクリートの中に鉄骨が入っている訳ですから、柱のコンクリート内にも部分的に鉄骨梁が入ってくることになります。
そうなると、主筋に合わせて配置されていくHOOPが梁の鉄骨に干渉してくる為、鉄骨の梁成分だけHOOPが成立しない状態になってしまいます。
構造としてSRC柱で部分的にHOOPがなくてもOKという話はありませんので、いくら鉄骨梁が干渉してくるとは言っても、HOOPを配置していく必要があります。
HOOPを決められたピッチで配置していく為には、鉄骨梁のウェブにHOOP用の孔をあけておくしかない、というような考え方になっていきます。
SRC柱のHOOPピッチは大抵の場合@100~@150程度になりますから、そのピッチで鉄骨梁のウェブに孔をあけていくことになる訳ですが…
ここで検討しておかなければならない項目がいくつかあるので、ざっくりとになってしまいますが、箇条書きにして挙げてみることにします。
・鉄骨柱に対して鉄骨梁は四方向に取り付く
・鉄骨梁の天端レベルは床仕上などによるため一定にはならない
・鉄筋納まりとしてHOOPは水平に配置される
・HOOP用の孔レベルは鉄骨梁四方向共に同じとする必要がある
・鉄骨梁のフランジ部分には直交するため孔はあけられない
・全ての鉄骨梁についてフランジをかわした孔位置計画が必要
というような感じになります。
簡単な図面として表現すると下図のような関係になっていて、仮に鉄骨梁のレベルが色々あったとしても、それぞれのフランジ位置に絡まないようなHOOP用の孔位置を計画する必要があります。
鉄骨梁のフランジレベルをかわした位置でHOOPを検討する必要があって、なおかつ前回紹介したSRC梁の主筋位置もかわしておく必要がある。
そしてさらにはHOOPのピッチが100mm程度、という条件は実際にやってみると分かりますが、かなり選択肢が少ない状況です。
どうしてもHOOPのピッチが確保出来ない場合などが出てくることになりますが、そうした場合には構造設計と打合せをして調整をかけていく事になります。
HOOPのピッチ100を厳密に守るのか、それともフランジぎりぎりの位置で鉄骨のウェブに孔をあける方が良いのか…
というような選択肢しかない場合も多いと思いますが、その場合には、ほぼ間違いなくHOOPのピッチを少し大きくして良いことになるはず。
通常の構造設計であれば、そうした選択をするはずなので、そのあたりはそれぞれの構造設計者と綿密な打合せが必要になってくると思います。
SRC柱とSRC梁に鉄筋用の孔をあける検討をする、というあたりの話はこのあたりで終わりにしておくことにします。
SRC柱とSRC梁の鉄筋が鉄骨のどのあたりに干渉してきて、鉄筋を通す為には鉄骨のどこに孔あけをしておくのがベストなのか。
こうした検討を進めていくためには、鉄筋の正確な形状と納りを図面上で表現することが出来る方が有利であることは間違いありません。
こうした細かい納まりの知識を増やしておくと、鉄筋コンクリート造(RC造)の検討をする際にも同じように役に立ってくることになるはず。
SRC造は確かに難しい納りの連続で苦労をすることもありますが、難しい納りに挑戦することで得られることも多いんです。
と言うことで、まずは自分で鉄筋の納まりを作図してみるなどして、鉄筋の納まり方針について知識を増やしていくことをお勧めします。