前回までの説明では、鉄骨鉄筋コンクリート造（ＳＲＣ造）の柱について、足元納まりを含めた基本的なパターンを紹介しました。
鉄骨の形状はコラム柱にはなりにくく十字形のが採用されやすいとか、足元の納まりは周囲の鉄筋とセットで考えられるとか。
このあたりの具体的な話については、鉄骨と鉄筋コンクリートとの関係を考えると、何となく納得ができるのではないかと思います。
鉄骨鉄筋コンクリート造というからには、やっぱりそれぞれの構造体がしっかりと繋がっていないと効果がないですから。
そうした一般的な納まりパターンを踏まえて、今回はＳＲＣ造の柱について、鉄筋がどのように納まるのかを考えてみたいと思います。
ＳＲＣ造の検討では鉄筋の納まりについて検討することを欠かすことが出来ないので、早速鉄筋の納まりについての話になります。
ただ、単純にＳＲＣ造の納まりについて例を出すよりも、ＲＣ造の場合がどうなっているかと比較をした方が分かりやすいと思います。
と言うことで、まずは比較対象として一般的な鉄筋コンクリート造（ＲＣ造）の柱がどのような納まりになっているか、というあたりから見ていきましょう。
ＲＣ造の場合は鉄筋とコンクリートだけで構成されている訳ですから、上図のように主筋とフープ筋、そしてコンクリートというシンプルな構成になっています。
これは以前のカテゴリでも色々と説明しているので、その部分を読んで頂いているのであれば、すんなりと理解出来ると思います。
こうした一般的なＲＣ造の納まりに鉄骨が入るとどうなるか。
実際に図面にしてみると、納まりの考え方が大きく変わってくるという程でもなくて、それほど大きな違いはなく主筋とフープ筋で構成されることになります。
ただしＳＲＣ造ではＲＣ造と違い、コンクリート柱の中に鉄骨柱があるので、少しだけそれぞれの関係性が変わってくることに。
これはもう当たり前の話ですが、鉄筋のかぶりを考えた時に、鉄骨柱のフランジがある部分が少々窮屈になってしまうんです。
コンクリート面と鉄骨との関係は、鉄筋のかぶりのように「最低でいくつ取らなければならない」という厳密な制限がある訳ではありません。
しかし、鉄骨とコンクリートの間に鉄筋が通る事を考えると、自然と１５０ｍｍとか２００ｍｍ程度の寸法が必要になってくることになります。
そうして検討を進めていくと、ＲＣ造に比べると構造体のサイズを小さくすることが可能なＳＲＣ造であっても、構造体のサイズを小さくすることはそれ程手軽ではないことが分かります。
ＲＣ造の柱にＳ造の柱を入れ込む事を考えると、どうしてもこうしてスペースの問題が出てくることになってしまうんです。
そうなるとＳＲＣ造のメリットがあまり大きなものではなくなってしまう為、主筋を四隅に配置してフランジ付近には割れ止め程度の鉄筋を配置する、という事もあります。
もちろんこのあたりの判断は構造設計者がすることですが、柱のサイズを少しでも小さくするという事を考えると、このような選択をする場合もあるはず。
このように納めることによって、鉄骨柱のフランジ付近でコンクリート面との距離を短くすることが出来て、結果として柱サイズを小さく収めることが出来ます。
とは言っても結局色々考えると１５０ｍｍ程度は必要になってくるので、そのあたりの寸法がミニマムになるとは思いますが…
ＳＲＣ造柱の鉄骨と鉄筋との関係にはこうした検討項目があって、それによってＳＲＣ造の柱サイズが決まってくることになります。
これを踏まえて、次回はＳＲＣ造の梁について、鉄骨と鉄筋との関係について色々と考えてみることにします。
