SRC造の納まりについて検討をする際には、鉄骨に孔をあける検討をするなど色々と複雑なことがあるので、ちょっと大変だというイメージがあるかも知れません。
当サイトでも何度も「大変です」と書いているので、ちょっと先入観みたいなものが出来てしまう可能性もありますが…
こうした事前検討の多さがSRC造の大きな特徴というか欠点になっているのですが、コンクリートが存在するおかげで多少のメリットもある、という話を前回は取り上げました。
コンクリートが存在するからこそ納まりが複雑になっている訳ですから、それによってメリットがあるんですと言ってもあまり嬉しくないかも知れないですけど…
やるべき作業が多い鉄骨関連の業務を意識した時に、工場でピースを付けなくても大丈夫で、固定方法については後で考えても問題ない、というのは非常に大きなメリットではあります。
少しくらい良いことがないとバランスが悪いですからね。
作業を後回しに出来るから楽になって、それが大きなメリットになっている、という表現をすると誤解を招きそうですが、そんな訳では全然ありません。
そうではなくて、鉄骨の検討をする際には最初にやらなければならない作業がたくさんあるので、少しでもその作業時期を分散した方が良いという事です。
作業を分散することによって、必要とされる作業に対して少しでも適正な時間を確保する事が出来るようになって、それによって検討の質を高める事が出来る。
結局やらなければならない作業量が減るわけではなく、全体的な作業のボリュームは全然変わらないのですが、それがある程度分散されることに大きな意味がある訳です。
こうして書いてみると、あまり大した内容ではないと感じてしまうかも知れませんが、作業のリミットを分散する事が出来る、というのは実際のところ非常に大きなメリットになってきます。
作業のリミットが分散していればいるほど、一人で順番に作業していくことが出来るようになって、仕事としては間違いなく効率が良くいなっていきますから。
やるべき作業が多いからたくさんの人員が配置される、という恵まれた状況であれば、工事の序盤に作業量のピークがあっても別に構わないのですが…
実際にはそうした恵まれた環境で仕事をしている方は多くないはずで、通常はぎりぎりの人員で何とか仕事をこなしているというのが現実だと思います。
後で検討すれば良いという種類の項目が増えていくことで、一人の人が順番に作業していくことが出来るようになって、人手不足によって検討が間に合わない状況を減らす事が出来る。
鉄骨の周囲にコンクリートがあることによって、何かを固定する為の納まり検討を後回しにすることが出来るというのは、地味ではありますが意外なメリットでもあるんです。
もちろん検討をやらなくてすむ訳ではなく、結局遅かれ早かれ検討をしなければならない部分ではあるのですが、時間的な猶予が少しだけあるというのはかなり大きいものです。
こうした事がメリットになるというのは、実際に鉄骨の検討をしたことがある方であれば納得して頂けるのではないかと思います。
そしてこれが非常に重要な要素になりますが、色々な検討をこなしていく事を仕事にしてる場合には、検討項目のリミットを意識しながら、優先順位を厳密につけていく必要があります。
それが出来ないとせっかく色々な苦労をしたとしても、その苦労が充分に報われなくなってしまうので注意が必要です。
まあ「注意が必要」という簡単な表現で済むような事ではありませんが、言葉にしてしまうとこういう事は簡単に聞こえてしまうものです。
鉄骨にコンクリートを巻いている事によって出てくるメリットは、こうした業務の優先順位を整理する際に、明確に後で大丈夫な部分が分かって助かるという側面も持っているんです。