鉄骨造の建物で床コンクリートの型枠として使用されるのは、一般的には「デッキプレート」と呼ばれる鋼製型枠になります。
デッキプレートは鉄骨梁と鉄骨梁の間に掛けて、端部を溶接で固定することによって、コンクリートを打設する際にもずれないようにする訳ですが…
このような納まりは鉄骨がある範囲までしか実現出来ないですよね。
でも実際の建物は外周まわりの鉄骨梁よりも外側に外壁があって、大抵の場合は外壁のすぐ近くまでコンクリートの床が必要になってきます。
そうしないと、建物の外周まわりでは、鉄骨と外壁の間で床が存在しない場所が出てくる事になってしまいます。
この考え方は平面図と断面図を合わせて見るとよく分かるのではないかと思います。
上図のような納まりが建物としては一般的になりますが、これが仮に鉄骨梁までしかコンクリート床がなかった場合どうなるかというと…
このように各階同士に大きな隙間が出来てしまう状態になって、建物の性能を充分に満たしているとは言えなくなってしまいます。
建物は基本的に各階を耐火性能がある材料で区切る必要があるのですが、上図の納まりではそれが出来ていませんから。
そうなると、例えば1階で発生した火事がこの隙間を経由してあっという間に全階へまわってしまう、というようなことになります。
こうした危険な状況では安心して建物を利用出来ませんので、そうならないように法律できちんと建物の性能を発揮できるように設定している訳です。
そうした理由から、コンクリート床は外壁ぎりぎりまで伸ばしておく必要があるのですが、その場合コンクリートの型枠はどのような納まりになるのか。
これが今回説明したい事でした。
納まりとしては非常に単純で、コンクリート床をそのまま伸ばしていくような納まりになって、その為には鉄板を利用した「con止めプレート」が必要になってきます。
これは当たり前の話ではありますが、いくらデッキプレートを鉄骨梁と鉄骨梁との間に掛けたとしても、そのままではコンクリートを打設することは出来ません。
デッキプレートは床コンクリートの型枠になる訳ですけど、型枠というからにはコンクリートを流し込む「型」でなければいけません。
型になる為に何が必要なのかというと、端部できちんとコンクリートを止めることが出来る立ち上がりになり、その立ち上がりを「con止めプレート」と呼ぶんです。
このcon止めプレートがないと、いくら床コンクリートをデッキプレートに流し込んでも、端部からどんどん流出してしまうという情けない状態になります。
そうならない為に、鉄板で製作してくるcon止めを全周切れ目なく配置して、その後で改めてコンクリートを流し込む、という手順を踏むんです。
もちろん外周部は鉄骨梁からはね出して設置されることになりますから、鉄骨梁と鉄骨梁に掛ける納まりとは全然違ってきます。
その為、それなりの補強を鉄骨側で設けてcon止めを設置していく事になります。
このあたりの納まりについては、床コンクリートはあくまでも構造体である訳ですから、構造設計者が方針を示すことになります。
なので当然構造図にその方針は記載されています。
最終的には外壁材から若干下がった位置でcon止めを決めていくことになりますが、これはそれぞれの仕上によって微妙に考え方が変わるものでもあります。
なので、そのあたりの具体的な話は、仕上納まりの説明をする際にどの程度の数値が適切なのかなどの話をしていこうと思っています。