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鉄骨造での床段差納まり-3

前回までの話では、鉄骨造の建物で床コンクリートに段差を設ける場合に、どのような選択肢があるのかという点について考えてみました。

・段差の位置を鉄骨まで移動出来るか検討する

・段差部分に鉄骨を追加する

・デッキプレートで段差を設ける

・デッキプレートを下げておきコンクリートを部分的に厚くする

上記の考え方について一通り説明をしてきましたが、最後の項目である「デッキを下げてコンクリートを厚くする」という考え方には少し問題がある、という話で終わっていました。
今回はその問題点について説明を続けていく事にします。

デッキプレートを全体的に下げておくことによって、プラン変更にも対応出来るようにしておく、というメリットもありますが、この考え方には少し問題があります。
最初に「荒っぽい」と書いたように、コンクリート床が下がりそうな範囲の鉄骨梁を全て下げておくというのは、やはりコストの面で問題が出てくるんです。

このような方針で建物の施工を進めていくと、どうしても打設するコンクリートのボリュームは増えていくことになりますよね。
もちろんコンクリートにもコストが掛かりますから、無駄にコンクリートの量を増やすことにコスト的なメリットは何もありません。

また、床コンクリートの型枠であるデッキプレートも、打設されるコンクリートの厚さによって仕様が変わり、当然床が厚いほどスペックの高いものになります。
打設する床コンクリートの重量が重くなる訳ですから、その型枠であるデッキプレートの厚みも少しずつ厚くなっていくことに。

当然厚さがあるデッキプレートの方がスペックが高いので値段も高いです。

わざわざ床コンクリートを厚くすることによって、型枠であるデッキプレートの仕様が上がり、打設するコンクリートの量が増える為にコストがかかる。
…という感じになり、納まり検討としては楽だし後から変更がききやすいやり方ではありますが、コスト的な観点で考えるとあまりお勧め出来ないやり方でもあります。

このあたりは色々なバランスを考えて判断することになるでしょう。

納まり検討の上で判断

色々な納まりの考え方がありますが、「これが絶対的に正しい」とかいう話はなかなかないもので、どのやり方を選んでも何かしらのデメリットはあるものです。
その中で比較的デメリットが目立ちにくい方法をその都度採用していく、というのが納まり検討の基本になってくるのではないかと思います。

さて。

鉄骨造(S造)の構造体として、鉄骨柱・鉄骨大梁・鉄骨小梁・コンクリート床の基本的な納まりについて今まで説明をしてきました。
各部屋によって床仕上の仕様が違い、その仕様によってコンクリート床のレベルが決まり、それに合わせて鉄骨梁のレベルが決まる。

この流れが鉄骨の納まり検討をする中でも重要な要素になってきて、実際にやってみるとこうしたレベルの調整は非常に手間がかかることが分かります。
鉄骨梁のレベルを下げておくのが正解だったけど現状では下がっていない…

という状況が施工者側としては最も困ることで、そうならない為に怪しいところは下げておくなどの処置をすることになります。

鉄骨を製作する為には早く鉄骨の製作図をまとめる必要がありますが、最終的な仕上納まりをきちんと把握しないと製作図をまとめることが難しい…
だけど細かい納まりを色々と検討していくには時間がなくて、ある程度のところで見切り発車的に鉄骨を製作しなければならない、というあたりが鉄骨造の最も難しいところではないかと思います。

こうした鉄骨造の納まりの中で、床コンクリートの段差について今まで色々と説明をしていきましたが、床コンクリートの端部がどのような納まりになっているのか。
よくよく考えてみるとちょっと悩んでしまうこのあたりの納まりについて、実際はどうなっているのか、納まりのポイントはどこにあるのか、などを次回は取り上げてみます。

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