• 仕事の理想的な流れ
    楽しく仕事をするために

    さて…建築に関わる仕事に就くことについて色々書いていたら、いつの間にか大学受験の話になってしまいました。ただ、大学受験と建築系の職に就くこととは全然違う話でもないので、こうした話になるのは仕方がないかなとも思います。進学する大学の学部によって、卒業後の職種がある程度は絞られてくる[...]

    続きを読む
  • 受験勉強は結構苦しい…
    仕事に就いてからの勉強

    建築に関する仕事に就くための最も一般的な流れはどんな感じなのか、という話を前回はかなりシンプルにではありますが考えてみました。まずは大学の建築学科に進学して建築に関する勉強をして、大学を卒業するタイミングで設計事務所やゼネコンなどに就職する。だけど建築学科がある大学に進学するためには、そ[...]

    続きを読む
  • 建築学科を卒業して就職
    建築に関わる仕事に就くための王道

    建築に関する勉強をして、実際に建物をつくっていく仕事ということで、建築関連の仕事に関わっていく。そのためにはどうすれば良いのか? ということを考えると、まずは大学の建築学科に進学するという王道を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。ちょっと当たり前すぎる話をもう少し具体的に書くと、[...]

    続きを読む
  • メールの数はあまり多くなかった…
    メールのお礼と現状報告

    当サイト「建築の仕事と納まり詳細と」では、建物を構成する床・壁・天井そしてそれぞれの取合納まりについて色々と解説をしてきました。個人で運営しているサイトなので、解説している私自身の個人的な見解になっていて、少し偏っているかも知れませんが…それでも建築関連の仕事で長いことご飯を食べているプ[...]

    続きを読む
  • メールアドレスの設定
    メールアドレス設定のお知らせ

    当サイトでは建築の納まりや仕事に関する話を色々としてきました。運営者である私が知っている限りの話はしていて、ちょっと説明が下手で長くなってしまいましたが、一応サイトとしてはフィニッシュしたつもりでいます。時々アクセス数などを確認していますが、結構たくさんの方に閲覧して頂けるようになり、情[...]

    続きを読む
  • 納まりを調整して美しい建物が出来上がる
    最後に

    さて、前回までの話では、建物の納まりを検討していく為のポイントを簡単にまとめてみる事に挑戦しましたが、あまり上手くいきませんでした。まとめと言いつつも、このまとめにも概要が必要だと思うくらいに長くなってしまい、全然まとめ切る事が出来ていない感じになっていますが…ある程度ボリュームがある話[...]

    続きを読む
  • 美しい建物をたくさん見ていく
    納まりのポイントまとめ-5

    □実際の建物を見る事先ほどはスケッチの重要性について色々と書きましたが、アイソメなどの技術を高めるにはもう何枚も何枚もスケッチを描くしか道はありません。これはスポーツなどでも同じだと思います。例えばテニスを例に出してみると、ラケットの握り方や振り方などは本で読めば知識として充分頭[...]

    続きを読む

ひび割れ誘発鉄筋の考え方

前回は鉄筋コンクリート造の壁について、ひび割れ誘発目地の考え方を色々と紹介しましたが、欠損率の考え方など結構面倒な部分が多いと感じたかも知れません。
しかし施工段階でこうした計画をたてておかないと、結局は出来上がった建物にひび割れが入って見た目が悪くなってしまうんです。

これを防ぐには、コンクリートの性質を深く知っている設計者と施工者がが協力して、計画的に目地を入れていく事を検討するしかありません。
これは確かに面倒な作業ではありますが、建物の最低限の性能を確保する為には必要な事なので、地味ではありますがしっかりと計画していく必要があります。

前回は欠損率を確保する考え方について紹介しましたが、目地だけでは欠損率が確保出来ない場合はどうするか、というあたりを今回は考えてみます。
指定した形状の目地棒を型枠に取り付けておき、そのままコンクリートを打設して型枠を解体すれば、目地がある部分にはコンクリートがない状態になる、というのが目地の考え方です。

目地を作る手順

だから「目地の深さを40にすれば…」と思っても、そんなに細長い形状の目地棒を取り付けてもコンクリート打設時の圧力で曲がってしまいます。
それに、目地を深くするということはつまり増し打ちを大きくするという事になって、結局構造体+目地深さという壁厚になるのでますます壁が厚くなってしまいます。

そうなると目地を深くしても全体の壁厚が大きくなるので、欠損率は思ったよりも大きくならない、というような状況になり、あまり現実的ではない納り図が出来上がります。
要するに現実的ではないという事ですね。

また、型枠解体の時にコンクリートから取り除くことが非常に難しいという問題も。
そんな商品を販売してもクレームになるだけで、メーカーとしてもそんなリスクを負いたくないので、目地棒としてそのような商品は販売されていない、というのが現実です。

型枠解体の時に目地棒を確実に取り除くには、深さと同程度の巾が必要になってきますが、目地の巾は大きくても20程度というのが一般的な数値です。
意匠設計者によっては15にしたいなどの要望もあったりする中で、巾40の目地というのはあまりにも大きすぎるので意匠的にNGとなり採用は出来ないはず。

そういった理由から、巾40で深さ40の目地棒には需要があまりなく、当然の結果として、やはり商品としてそのような目地棒は販売されていない状況です。
目地の巾20で深さ20というのは一般的な目地棒の形状ですから、表面と裏面を合計して目地深さ40というのが最大ということになってしまいます。

そうなると、壁が厚い部分では欠損率が足りなくなるので誘発目地が入れられないのではないか、という話になってくる訳ですが…
コンクリートの表面に目地で欠損を入れるだけでは確かに限界があるので、コンクリート壁の中に何かを入れることで欠損率を大きくする、という考え方があります。

何を入れてコンクリート壁の欠損率を大きくするのかは、工法によって色々な部材があるのですが、これを書いている今現在であれば「鉄筋」を入れることによって欠損率を大きくすることが多いです。
構造体としての鉄筋はもちろん別に入れているので、ひび割れ誘発の為に入れる鉄筋を「ひび割れ誘発鉄筋」と呼んで区別したりします。

具体的な納まりとしてはこのような感じになり、目地深さと鉄筋をあわせて、壁厚に対する欠損率20%を確保している訳です。

ひび割れ誘発鉄筋

目地の深さを考えた時に、目地が深すぎるとコンクリート打設時の圧力で目地棒が曲がってしまう、という話がありました。
それなのに上図の鉄筋はきちんとこの位置に入れることが出来るの? という疑問が出てきてしまいますが、正直なところこうして狙った場所に鉄筋を入れるのは大変です…

しかしひび割れを狙った位置に誘発させる為には、現状ではこの方法しかないという現実もあるので、施工段階で出来るだけきちんと鉄筋を入れるように頑張るしかありません。
建築関連の工法は日々新しくなっていますから、もう少し時間が経てば画期的な工法が出てきて「ひび割れ誘発鉄筋?古いね」みたいになっている可能性も結構ありますが…

しかし設計者も施工者も「良い建物を造りたい」と思いながら仕事をしていますから、そうした画期的な工法が考えられるのは誰にとっても良い事だと言えます。
私も今回ここで説明した内容がいつしか古い情報になっていることを期待しています。

関連記事

  1. 記憶
  2. 外壁目地の例
  3. タイル割りによる誘発目地位置の検討
  4. 天井裏
  5. コンクリートが見えてくる場合
  6. 崩れる