建物の構造にはいくつかの種類があって、それぞれの構造によって押さえておくべきポイントや仕事の進め方は結構違ってきます。
今回はそんな建物の構造の中でも、最も一般的だと思われる鉄筋コンクリート造(RC造)に注目して色々と説明をしていきたいと思います。
最も一般的な…みたいな表現をするのは少し無責任な気もしますが、それでもRC造が一般的な構造である事は間違いありません。
このカテゴリでは、そんな鉄筋コンクリート造について色々と書いていきたいと思います。
「一般的な納まり」とか「普通はこう納める」などの表現について少し書いてみると…
このように曖昧な、しかも個人の感覚で答えが変わってくるような表現は、正直なところ私はあまり好きではありません。
確かに便利な言葉ではありますが。
「こうやって考えるのが納まりとしては普通」というような表現を使うと、結局は発言力の強い人の言葉が絶対になってしまいます。
でも実際は建築の納まりには色々な考え方があって、これが絶対に正解というものはなく、それぞれがプロとしての考え方を持っている訳です。
でもそうした様々な意見があっても、結局は立場と声が大きい人の「普通」が絶対的な正解という事になってしまう事に。
組織で仕事をしている以上、こうした話はある程度仕方がない事ではありますけど、それでは大人数で仕事をしている価値が発揮されないような気がしています。
もちろん意見を集約しないと収拾が付かないので、ある程度正解と思われる考え方を押し通すのは必要な事でもあります。
と、結論が出ないような事を色々と書いてしまいましたが、ともかく建物の構造として最も一般的だと思われるRC造についてここでは考えていきましょう。
そもそもRC造とはどういう意味か、というあたりについては以前のカテゴリでも説明をしていますが、おさらいを兼ねてここでもう一度。
Reinforced : 補強された
Concrete : コンクリート
RC造というのはこれら二つの単語の頭を取って作られた言葉になっています。
これはもう読んだままの意味になっていますけれど、コンクリートを補強した部材を建物の構造として利用するという考え方になります。
こうした建物の構造をRC造、もしくは鉄筋コンクリート造と呼びます。
「補強された」という言葉がつくからには、構造体として使用されるコンクリートを何らかの材料で補強していくことになります。
コンクリートだけでは構造体として成立しないという事をこれは意味しています。
確かにコンクリートは圧縮される方向に対しては大きな力を持っているのですが、引っ張る方向に対してはあまり抵抗することが出来ないんです。
何となくコンクリートのイメージを考えてみると、確かにそうした特徴があるかも、と納得してしまうのではないかと思います。
これはコンクリートという部材が持っている特徴なので、引っ張る方向については別の部材を用いて抵抗していく事で考えていくしかありません。
そこで登場するのが「鉄筋」という事になり、こうした考え方から鉄筋コンクリートが建物の構造として採用される事になっています。
鉄筋について非常にシンプルな説明をすると、上図を見て頂ければ分かると思いますが、鉄で出来た細長い棒状の部材というような感じになります。
こうした形状の見た目通り、鉄筋はコンクリートとは反対に、圧縮する方向に力に対しては弱く、引っ張る方向の力に対しては強いという特徴を持っています。
圧縮する方向の力に対してはコンクリートが、引っ張る方向の力に対しては鉄筋がその性質を発揮して抵抗していく、というのが鉄筋コンクリート造の基本的な考え方になります。
性質の異なる二つの部材を組み合わせることによって、建物の構造体となり得る部材として成立している訳です。