前回は建物の荷重を支持層まで伝達する役割を持つ「杭」について色々書いてみました。
杭の種類については調べていくと色々あることが分かりますが、どのような材質であっても杭の持っている役割が変わることはありません。
支持層の条件やコストや工期などによって、どのような杭を選定するかを決めるだけの話で、根本的な杭の役割は同じです。
そういった意味で、杭の種類とか実際にどのような工法で施工をするのか等を覚えるのは、もう少し後にしても問題ないと思います。
当サイトではまず杭の基本的な概念を覚えておくことを第一段階と考えています。
今回はそうした杭の工法や種類の話ではなく、建物の基礎とどのような関係になっていくのか、という具体的な納りについて考えてみることにします。
建物にかかる荷重は以下の様な流れで地盤に伝達されることになります。
床 → 梁 → 柱 → 基礎 → 杭 → 支持層
なので当然のことながら、杭は基礎のすぐ下に配置されることになり、基礎の上には柱が配置されるという関係が一般的になります。
建物を設計して施工を進める段階で基準となる通り芯は、大抵の場合柱の芯になっている事が多いのですが、柱の位置とリンクする基礎も同じような位置に配置されます。
簡単な平面図で表現するとこんな感じですね。
建物の外周まわりでは、柱芯に合わせて基礎を配置すると、大抵の場合は柱よりも基礎が大きいため、基礎が建物の外側に大きくはみ出してしまいます。
そうならないように、建物の外周では基礎を柱から偏芯させて、出来るだけ建物の外周からはみ出さないようにすることも多く、平面図はこんな感じになります。
こうした基礎に対して杭は、杭の大きさによって考え方は変わりますが、既製コンクリート杭であれば基礎1箇所につき2本~4本程度の杭が配置されることになります。
面積の大きい基礎に対して複数の杭で基礎の荷重を受け持つことになる為、柱芯や基礎芯とは少しずれてこのような配置になる場合が多いです。
こうして配置した杭を支持層まで打ち込むことによって、建物の荷重をきちんと支持層まで伝達することになる訳です。
断面図で表現するとイメージが掴みやすいのではないかと思います。
この断面図の中で、杭と基礎が接続されている部分がどうなっているかというと、もちろん構造体としてきちんと連結しています。
構造体ということは要するにコンクリートだけではなく鉄筋が絡んでいるという事。
杭の頭には鉄筋が決められた径と本数取り付けられることになりますが、これが基礎の鉄筋の内側に入ってきて、こんな感じになります。
基礎の上には当然柱がありますから、柱の主筋やフープも基礎の中に入ってくることになり、独立基礎の場合は地中梁の主筋も絡んできて結構複雑になることが多いです。
建物の荷重を杭に伝達することが出来るように、という目的がある訳ですから、ある程度鉄筋が複雑に絡み合うのは当然のことなのかも知れません。
建物の構造が鉄筋コンクリート造であっても鉄骨造であっても、基礎が鉄骨造になることはありませんから、基礎と杭の考え方に大きな違いはありません。
基礎の上に載る柱の形状が鉄骨造と鉄筋コンクリート造とで違ってくる訳ですけど、そのあたりの細かい納まりについては個別の説明していくことにします。
地面に近い部分にある鉄筋コンクリート造についての話はひとまずこれで終わりにして、次回は上階にある梁と天井との関係について考えてみることにします。