鉄筋コンクリート造(RC造)について今まで色々説明をしてきましたが、主な要素である鉄筋と型枠についての基本的な部分はそろそろ終わりになります。
鉄筋についても型枠についても、もっと細かく突き詰めていくとまだまだ取り上げておきたい話というのは結構たくさんあります。
しかし当サイトで提供したいのは全般的な建築に関する知識です。
ここから先の深い知識を得ることよりも、他の分野についての広い知識をまずは得た方が効率が良いのではないかと考えています。
鉄筋を日常的に扱うような業務をするのであれば、ここに書かれている知識だけでは恐らく不足してくると思いますが、そうでなければ知識としてはまずまずだと思います。
どんな仕事でも同じだとは思いますが、建築の仕事に関する知識も非常に奥が深いので、突き詰めていってもなかなかゴールにたどり着く事は難しいです。
ただ、現実として業務をこなすことを考えていくと、知識は一点集中ではなく、まずはある程度の深さまでを広くの方が良いと思います。
「広く浅く」ではちょっと勝負にはならないので、ある程度の深さで広い知識を持っていると、建築のプロとしての価値が高くなっていくはず。
知識のひとつひとつを深めていくのは、そこまで到達してからの話です。
と言うことで、鉄筋と型枠についての深い話はいずれ機会があれば取り上げる事にして…
ここでは鉄筋コンクリート造に関する話を先に進めていくことにして、今回は建物の基礎とコンクリートの関係について考えてみたいと思います。
建物の構造には幾つかのパターンがありますが、大きく分けると構造体は鉄筋コンクリートか鉄骨か、もしくは木の三択という感じになっています。
大きな規模の建物であれば木は採用出来ませんので、一般住宅などを除けばコンクリートか鉄骨かという話になってきて、あまり選択肢が多くない状況だと言えます。
ただ、建物の構造がどのようなものであっても、建物の基礎を構成するのは間違いなく鉄筋コンクリートになってくる、というあたりが今回取り上げたい話です。
当たり前の話ですが、どのような構造の建物であっても一番下は地面に接していて、建物の荷重を地面に、もう少し正確に言うと地中の支持層へと伝えることで成り立っています。
そしてこれもやはり当たり前の話ですが、地面に接しているということはつまり、雨が降ったりして水に濡れる可能性があるということを意味します。
雨が降っていない日であっても、地面の中というのは基本的に湿気を含んでいるものですから、ようするに地中は常に水分がある状態ということになります。
そうした地面に接する部分は常に水分に接することになる、もう少し具体的に言ってしまうと、建物の基礎は常に水分と接しているという事になります。
建物の構造体として使われる部材のひとつである鉄骨は、ちょっと読んだままになってしまいますが、鉄で構成されています。
基礎部分に鉄骨を採用しようとしても、常時水分がある部分では長い年月を経ると錆びてしまうため、残念ながら採用することが出来ません。
これは構造が木造である場合も全く同じ話が当てはまり、地面に接する部分に構造体の木を配置すると腐ってしまうので、採用することは出来ません。
一方で鉄筋コンクリートは、湿気がある場所であっても、アルカリ性であるコンクリートの中に鉄筋が配置されている為、鉄筋が錆びたりする心配がありません。
そうした理由から、建物が地面に接する部分は、どのような構造であっても鉄筋コンクリート造(RC造)が採用されることになります。
鉄骨が地中に入る場合もありますが、その場合でも必ず鉄骨のまわりにはコンクリートが巻かれている事になっているはずです。
という事で、次回は基礎の基本的な形状について考えてみたいと思います。