鉄筋コンクリート造の納まりを知る為には、鉄筋の納まりをについて知っておくことが重要になってくるという事で、前回は柱の鉄筋について色々と考えてみました。
大きく分けて「主筋」と「帯筋」に分かれていて、それぞれの欠点を補いあう事によって構造体としての強度を持つ事が出来る、というような話でした。
前回は柱の鉄筋について考えてみた訳ですから、柱の次は梁という事で、今回はRC造の「梁」についての細かい部分について考えてみることにしましょう。
□梁の鉄筋
前回紹介した構造体の柱は、建物の縦方向にのびていく構造体になりますが、梁というのはその柱と直交する方向に配置される構造体になります。
建物の平面方向に配置されていて、柱もしくは梁に取り付いている構造体を梁と呼びます。
梁には大きく分けて二種類あります。
柱と柱を結ぶ梁を「大梁」もしくは「G梁」と呼び、梁と梁の間にかける梁を「小梁」もしくは「B梁」と呼んで区別をしていきます。
大梁・小梁いずれの種類の梁であっても、建物にかかる荷重を最終的には柱へと伝達する役割を持っています。
梁の鉄筋納まりは基本的に柱とそれほど変わりませんから、柱の鉄筋納まりが分かっていれば自然と覚えられるのではないかと思います。
ただ、柱と梁では鉄筋の呼び方が少しだけ違ってくるという面倒な話があるので「柱と同じです」で済ますことは難しく、それぞれ説明していくことにします。
・主筋(しゅきん)
やはり梁にも主筋は存在していて、考え方は柱の主筋と全く同じになります。
梁が配置される方向に対して平行にのびていく鉄筋を主筋と呼び、構造体としての鉄筋というのは基本的に主筋が受け持つことになります。
柱を意匠的に見せたい場合は円形にするなどが計画されますが、梁を意匠的に見せたいという場合はほとんどありません。
梁は基本的に天井裏に隠れてしまいますし、それを意匠的に見せたいと思ったら天井を貼らない選択をする必要があるのですが…
天井を貼らないと恐らく配管やダクトなどが先に見えてしまうので、梁を意匠的に見せるというような話はそれほど現実的ではないんです。
頑張って梁を見せるように調整しても、実際はあまり美しくないという結果になり、報われない努力という事になってしまう可能性が高いんです。
という事で、縦方向と横方向の比率がどうなるかはともかくとして、梁は基本的に四角い形で形成されるという事になります。
そうした四角形の外形から少し内側に入ったところに主筋は配置されます。
これは柱の主筋と同じ考え方ですが、このような感じの配置になります。
RC造の中で鉄筋として構造体を受け持つわけですから、主筋には割と大きな径の鉄筋、D19とかD22などの鉄筋が選定される場合が多いです。
・肋筋(あばらきん)
柱の場合と呼び方は違いますが、梁の主筋と直交する方向に配置される、主筋をぐるりと巻いていく鉄筋を肋筋と呼びます。
柱にとっての帯筋が梁にとっての肋筋という関係になっていて、呼び方としては「スターラップ」と呼ばれる事の方が多いかも知れません。
肋筋の役割は柱における帯筋と同じで、梁にかかる剪断方向の力に抵抗する事と、主筋がバラバラにならないようにという目的で配置されます。
これも柱の帯筋と同様、それ程大きなサイズの鉄筋が選定されることはなく、D10とかD13くらいの鉄筋を200mmピッチとか100mmピッチで配置する、というのが一般的な納まりでしょう。
肋筋のイメージは上図の通りで、実際に梁配筋をした状態はこんな感じになります。
梁の鉄筋納まりについての基本的な考え方はこんなところです。
次のステップとしては、梁の主筋がどこまでのびていくのか、という事を考えていくことになりますが、それはまた次の機会に説明することにします。