鉄筋コンクリート造(RC造)の基本的な形状は「コンクリートの中に鉄筋が入っている」という事になりますが、具体的にはどのように鉄筋が入っているのか。
RC造では鉄筋の納まりが非常に重要な要素になってくるので、今回はそのあたりについて詳しく考えてみることにします。
具体的な鉄筋の径とか本数などの仕様については、建物の規模や構造計算などの条件によってかなり違ってくるものなので、そうした数値的な話をするのは止めておきますが…
柱・梁・壁などの主要な構造体でコンクリートの中に配置される鉄筋のパターンはほぼ同じですから、まずはそのパターンと呼び方を覚えておくことにしましょう。
まずは柱の鉄筋から。
□柱の鉄筋
柱というのは建物の高さ方向に向かって延びていく構造体で、建物にかかる過重を基礎に伝達する役割を持っています。
こうした内容はかなり一般的すぎる話なので、柱についての基本的な説明をするのはちょっと変な感じもしてしまいますが…
柱の鉄筋について考えていくと、鉄筋コンクリート造の柱には大きく分けて二種類の鉄筋が配置される事になります。
・主筋(しゅきん)
柱の高さ方向に対して平行に配置される鉄筋で、柱にかかる引っ張り力に対しては、この主筋が有効に作用することになります。
四角形の柱であればコンクリートの外面から少し内側に四角形に、円形の柱であれば柱面から少し内側で円形に配置されます。
配置のイメージはこんな感じになります。
「主筋」というくらいですから、構造体としてコンクリートと共に過重を受け持つメインの鉄筋になっていて、比較的大きめの径が選定される傾向にあります。
もちろん鉄筋径は建物の規模や構造によって全然違ってくるので一概には言えませんが、D28とかD25などの鉄筋が選定されることになります。
・帯筋(おびきん)
帯筋というのは主筋に対して直交する方向に配置される鉄筋で、主筋の外側をぐるりと巻いていくような形状で配置されます。
帯筋の呼び方はひとつではなく、場合によっては「HOOP(フープ)」とか「バンド」と呼ばれる事もあるので、慣れていないとちょっと混乱してしまいます。
こうした呼び方には慣れるしかありませんが、ひとまず帯筋とHOOPとバンドという呼び方をひとまとめにして覚えておきましょう。
帯筋の役割は、柱にかかる剪断方向の力に抵抗する事と、主筋がバラバラになって力を発揮できないという状況を避ける事にあります。
構造体としては、帯筋は主筋を補佐するというような種類の鉄筋ですから、それ程大きなサイズの鉄筋が採用されることはあまりありません。
D10とかD13程度の細い鉄筋を100mmとか200mmくらいの間隔で配置していく、というのが帯筋の一般的な仕様になってきます。
柱の鉄筋は径の太い主筋がメインではありますが、帯筋がないとその主筋も力を発揮することは出来ないので、どちらの鉄筋も欠かすことは出来ません。
…と、文章だけの説明ではちょっと分かりにくいので、まずは帯筋がどのように配置されるのかの図面を紹介します。
あとは実際の柱鉄筋の写真です。
主筋のまわりに帯筋が結構細かく配置されている状況が、上図ではよく分かると思います。
柱の主筋と帯筋の関係については、上記図面と写真によって結構イメージする事が出来たのではないでしょうか。
実際にはもう少し細かい鉄筋の納まり検討が必要になる場合もありますが、柱の鉄筋納まりについては、手始めにこのあたりまで分かっていれば大丈夫でしょう。
次回はもう一方の構造体である梁について色々と考えてみる事にします。