鉄筋コンクリート造(RC造)が実際どのような流れで施工されていくのか、というあたりの話を前回は取り上げました。
まずは型枠を組み立てて、型枠の中に入るように鉄筋を組み立てた後でコンクリートを流し込む、というのが基本的な流れになります。
そうした流れを考えると、鉄筋コンクリート造(RC造)の納まりを考える為には、型枠と鉄筋の事をきちんと知っておくことが重要、ということになるはず。
と言うことで、ここではまず鉄筋についての色々な話をしてみたいと思います。
以前簡単に説明をしましたが、ひとくくりに「鉄筋」と言っても色々な仕様がありますので、まずはその分類を知っておくことからスタートです。
□丸鋼(まるこう)
断面形状が円形になっている鋼製の棒を丸鋼と呼びます。丸鋼のイメージはこんな感じです。
鋼材には成分によって色々な種類があり、丸鋼で言えば一般構造用圧延鋼材と呼ばれる「SS400」が一般的に使われています。
あまり鉄筋コンクリート造の構造体として使用されることはありませんが、使用する場合は丸の径と鋼材の仕様などを構造設計で細かく検討したものを使用することになります。
□異形棒鋼(いこうぼうこう)
断面形状が円形になっているのは丸鋼と同じですが、外側に凹凸の節が設けられているものを異形棒鋼と呼びます。
異形棒鋼のイメージはこんな感じです。
建築関係の仕事をしている中で「鉄筋」と言えば自動的にこの「異形棒鋼」の事を指す、というくらい一般的な材料なので説明はいらないかも知れませんが…
こちらも構造設計者によって鋼材の仕様と径が指定されるので、柱や梁・壁などの部位によって様々な仕様の異形棒鋼を使い分けていくことになります。
異形棒鋼の仕様についてとりあえずサイズ的な話だけをすると、鉄筋径としては以下のような規格のサイズが用意されています。
D10
D13
D16
D19
D22
D25
D29
D32
D35
D38
この「D10」などの数値を「呼び径」と言います。
異形棒鋼は外側に凹凸があるので、どこで計測するかによって外形寸法は少しずつ変わりますが、大雑把に言ってしまえば呼び径=鉄筋径という感じになります。
細かく言えば、最も出っ張っている部分の寸法は呼び径+1mm~5mm程度になり、径が大きくなればなる程プラスされる数値が大きくなる傾向にあります。
この呼び径と外形の関係についての細かい関係は、鉄筋の納まりを検討する際に重要になってきますが、ここでは「鉄筋にはこんな規格があるのか」くらいの認識で大丈夫です。
コンクリートと鉄筋を組み合わせた鉄筋コンクリート造(RC造)において、鉄筋は主に引張り力に抵抗する為に配置されます。
圧縮される方向の力に対して鉄筋はあまり有効に働きませんが、これは細長い鉄筋が両側から押されて曲がってしまう状況をイメージして頂ければ分かりやすいかと思います。
例えば柱ですが、柱には引っ張る力がかからないような気がしてしまいますが、実際には縦方向に過重がかかった際に座屈しようとする力が柱にかかります。
その際に縦方向に鉄筋が配置されていれば、引っ張る方向の力に強い鉄筋が柱にかかる力に対して抵抗する、というようなイメージです。
梁でも考え方は同様で、過重がかかった際に梁の中央には大きな引っ張り力がかかりますので、その力に抵抗する為に鉄筋が配置されます。
このように、鉄筋コンクリート造ではコンクリートの中に鉄筋がどのように納まっているかを知る、ということが非常に重要になってきます。
逆に考えると、鉄筋に関する知識と納まりを覚えてしまえば、RC造の納まりについてはある程度掴むことが出来たとも言えます。
しかしそれはあくまでも構造体の納まりだけの話です。
仕上の納まりを覚える前にまずは構造体について覚えるという事で、次回はもう少し鉄筋の基本納まりについて説明をしてみます。