さて、今まで色々鉄筋コンクリート造(RC造)の基本的な納まりについて説明をしてきましたが、そろそろ基本部分の話は終わりに近づいてきました。
まだまだ説明しておくべき事が残っているような気もしますが、そうした細かい部分はこれから少しずつ時間をかけて補っていくことにします。
今回は今まで説明してきた内容を簡単にまとめて、鉄筋コンクリート造の考え方を色々とおさらいしてみようかと思います。
まずは鉄筋コンクリート造(RC造)の言葉から。
Reinforced : 補強された
Concrete : コンクリート
鉄筋コンクリート造をRC造と呼ぶのは、上記の言葉の頭文字を取っているからで、意味としてはそのままですが「鉄筋によって補強されたコンクリートの構造」というような意味があります。
補強されていないとRC造とは呼べない訳ですから、鉄筋が非常に重要な要素になっていて、鉄筋と並んで重要な要素として型枠が挙げられます。
型枠というのはコンクリートを流し込む型を指していて、型枠を組み立てて鉄筋をその中に入れ、その後コンクリートを打設する、というのがRC造の基本的な流れになってきます。
RC造には「構造体」という考え方があって、構造図で定められた仕様を守る事で、建物は外部からかかる力や建物自体の自重に耐えられるようになっています。
構造体というのは「鉄筋が配置された範囲」を指していて、図面では点線表記されることが多く、図面で表現するとこのような状態に。
コンクリートの外面と構造体の位置は必ずしも合っている必要はなく、構造図に示されている大きさを守っていることを前提として、大きさの調整は大きくなる方向で調整をしていくことになります。
コンクリートの位置を決定する要素としては、当然構造図に記載されている構造体の大きさというのが一番守るべき項目として出てきます。
しかしそれと同じくらい重要な要素として「最終的な仕上との関係がどうなっているか」というところがポイントになってきて…
コンクリートを打設する前に、こうした仕上を含めた検討を進めていく必要があり、これがまあ非常に大変な業務になってくる、という感じです。
・構造体がきちんと成立している事
・コンクリートが最終的な仕上ラインから出っ張らない事
・最終的な仕上の都合が良い位置にコンクリートがある事
コンクリートとしては上記のような項目を満たしている事が必要です。
これらの項目は読んでみると結構当たり前の話ではありますけど、実際にそれを実現仕様とするとかなり大変だということが分かります。
いずれも非常に重要な項目ですから、これらの項目が満たされていない状態で施工が進んでしまうと、後で非常に大変な思いをすることになってしまいます。
仕上との関係を検討していくという作業は、なにも鉄筋コンクリート造(RC造)に限った話ではなく、建物がどのような構造であっても同じように仕上との調整は発生してきますが…
それぞれの項目によって気をつけておきたい項目は少しずつ違ってきますから、ここでは鉄筋コンクリート造(RC造)で重要な要素を押さえておくことが肝心です。
最終的な完成形を意識しながら検討をしていく中で、ひび割れ誘発目地や構造スリットなどの位置を決めていき、その位置で施工を進めるという流れになります。
最終的に見えてくるコンクリートの範囲を確認する事と、転用する型枠を使用しても問題ない範囲の検討、見えてくる部分の出隅に面木を入れるかどうか。
こうした様々な要素を検討いくのは施工者側の役割になりますが、検討した内容が意匠的な考え方にマッチしているかどうかは設計者が確認するしかありません。
施工者の考え方としては、少しでも施工がやりやすい方向で検討を進めていくものですから、そうした検討によって意匠的に問題があるかどうかの確認はどうしても必要なんです。
それぞれの項目はそこまで難しくはないのですが、調整していく項目が非常に多く、それらがお互いに影響しあったりすることもあるので、コンクリート形状の検討は結構大変な作業です。
そしてコンクリートを打設した後で間違いに気がついてしまい、どうやって納めていこうか悩む、みたいな部分もコンクリートの特徴ではないかと思います。