前回はCADで図面を作図する際のメリットについて考えてみましたが、やはり正確な図形を簡単に作図出来るというのは非常に便利なものです。
作図した図面のデータをコピーして少し違う図面として編集したりも出来るので、活用方法によっては驚く程便利になる場合もあります。
手描きの時代には、作図した図面の原本を大事に取っておいてコピーした図面を使う、というやり方が主流だった為、図面はトレーシングペーパーに作図していました。
半透明な紙に作図をして、感光紙と重ねて薬品とあわせて感光させるという「青焼き」というやり方は今現在使われていませんが、昔はこのやり方が主流だったんです。
独特のにおいとか、時々紙を巻き込んでしまい図面がダメになってしまう事とか、付箋を貼ると剥がしにくくなる事など…青焼きを使っていた頃が懐かしく感じます。
手描きからCADに切り替わってからもしばらくはトレーシングペーパーに印刷して青焼き、というような手順を踏んでいましたが、今は青焼き自体がなくなってしまいました。
A1サイズで印刷出来るプリンターの性能も高くなってきて、印刷にかかる時間も少なくなってきましたから、恐らくCADデータを印刷する方が効率が良いという事なのでしょう。
青焼きよりも印刷した方が図面が鮮明ですし、何より白い紙にカラー印刷された図面は見やすいですから、一度カラー印刷図面を見ると青焼きには戻れません。
こうした「CADデータを利用して図面を何枚でも印刷出来る」というのは、手描きに対するCADの大きな強みになるでしょう。
実際に経験してみると、これが非常に便利だということがすぐに分かります。
データ化することによってペーパーレス化が進むという意見もちょっとありそうですが…実際は図面を何枚も印刷するのが習慣になっていて、消費される紙の量はむしろ増えている気がします。
紙に印刷する事がなくなり、図面をタブレットで見ることが普通になればペーパーレス化は進むとは思いますが、それにはもう少し時間がかかりそうですし。
ただ、その都度CADデータから図面を印刷するというやり方は便利ではありますが、変更があった場合の伝達など情報をしっかり管理していく必要があります。
そうしなければ、変更前の図面が出回り続けることになり、CADのデータを修正する意味がなくなってしまうという状況になってしまいますから。
とは言ってもそれは青焼きを利用している時でも同じで、結局は何かしらの情報管理は必要になってくるものですから、そこは大きなデメリットにはならないでしょう。
こうしたCADのメリットを利用して図面を作図していく仕事をしていくと、手描きに比べて優れているところも多いので便利に感じて、自然と手になじんでくるものです。
こうした意見はCADを使いこなすことが出来ているからこそ言えるのだとは思いますが…
実際にCADを使いこなしている方はたくさんいますので、恐らく私だけが特殊なスキルを持っているという訳ではないはずです。
誰もが手軽に図面を作図することが出来るように、という目的でCADは開発されていますから、操作を覚えるのが難しくて無理、という事はあまりないと思います。
そんなに難しい操作だったり、覚える為に高度な知識が必要になったりすると、恐らく商品として成り立たなくなるので、出来るだけ手軽にというテーマが絶対にあるんです。
CADを使うことに少しでも抵抗を感じていたり、手描きの方が良いと思っているけれど仕方がなくCADを使っているという方もまだ結構いると思います。
そうした方に、それほどCADも悪くないツールなのでぜひ積極的に使ってみてください、ということを少しでも伝えることが出来れば嬉しいです。