図面を自分で作図するのではなく、作図は図面のプロに依頼しておき、自分はもっと別の業務をするようなポジションで仕事をされる方は結構多いと思います。
CADによって図面を作図する業務というのはあくまでも仕事の一部で、全ての人が同じような業務を進めてしまうと仕事は成り立ちません。
プロジェクト全体を統括するとか、主にお金に関する業務をするなど、建物を造っていく為の業務であっても図面がメインではない業務はたくさんあります。
そうした立場で業務をする場合には、自分でCADを完全に使いこなすことが出来なくてもそれほど大きな問題になることはありません。
このように、もし自分で図面をゼロから作図する事を業務としていない場合は結構多いはずで、その場合はCADに対する認識が少し違ってくる事になります。
具体的には、自分ではない誰かCADのエキスパートが作図した図面のデータを開いて、寸法を確認したり印刷したりする事が出来れば操作としてはOK、という感じになります。
実際に作図や修正をしない立場であれば、CADの操作方法ではなく、CADではどんな事が出来るのかを知っておくだけで充分だという事です。
そこから図面を修正するなどの作業がやりたくなった場合には、図面を作図した人にお願いしてやってもらう方が恐らく早くて正確だという考え方ですね。
あまりCADの操作に慣れていない人が機能を調べながら図面を修正するよりも、普段からCADを使っている人が修正した方が絶対に早いですから。
このあたりはいくら瞬間的に頑張ったとしても、毎日積み重ねている方に勝てる可能性はゼロなので、そこで張り合う必要は全然ありません。
そのあたりを理解しておかないと、無理してCADのプロと張り合う事になったりして、そうなると結構恥ずかしいことになるので注意が必要です。
頑張ってCADのスキルで張り合おうとしたところで、CADのプロはスキルのレベルが全然違うことを知っているので、恐らくやんわりとかわされて終わりになります。
プロ野球選手が高校野球のチームと試合をして本気になるはずがないのと同じで、基本的には相手にされない状態になってしまいます。
仕事というのは色々な人がその得意分野で力を発揮していく事が重要で、一人のスーパーマンが全ての仕事をこなす必要はどこにもありません。
一人の人が何もかもを誰よりもこなす、という状況が悪い訳ではありませんが、非常に危険な状態なのであまりお勧めすることは出来ません。
その一人が非常に仕事の出来る優秀な方であれば、恐らく無理して分担するよりもはるかに効率良く仕事が進んでいくはず。
そう言った理由から、ついつい業務の分担をしないでおきたくなるのですが、それでまわすことが出来る仕事はあまり大きなものにはなりません。
ひとりの力には限界があるので、もし大きなプロジェクトを成し遂げたい場合には、全員の力を合わせて仕事を進めた方が絶対に良い結果が出ます。
逆に全てのことを自分でこなそうと思ってしまうと、本当に小さなプロジェクトしか出来ないという状態になる事は間違いありません。
どんなに優秀な人であっても人間ですから、膨大な仕事量を目の当たりにして疲れることもあるし、精神的に疲れてくることもあります。
そうした条件に関わらず、常に高いパフォーマンスを発揮できる、というのが理想ではありますが、それはあまりにも理想的すぎ、というか不可能な事です。
その一人が倒れたり辞めてしまったりした場合には、今まで仕事を分担しない方が効率的だと思っていたやり方が一気に崩壊してしまいます。
自分一人で仕事を全て抱えるという事は、そうしたリスクがあるという事を意味しています。
リスクヘッジの意味もあるし、負担を分散するという意味合いもあるので、やはり仕事というのはそれぞれの得意分野で分業することが基本になってきます。
CADのプロは図面の作図と修正を受け持ち、施工者であれば実際に建物を造っていく為に必要な事をやっていく、という感じです。