建物を設計していく上で必要になる図面にはどのようなものがあるのか、という点について今まで色々と説明をしてきました。
その中で意匠図と構造図について取り上げて来ましたが、建築関連の設計図としては意匠図と構造図で一通り揃う事になります。
建物の骨組みである構造図と、建物のプランと見た目を担っている意匠図の組み合わせによって、建物の形状はある程度定まってくる事に。
なので今回は設備的な図面という事で、電気設備図を紹介してみたいと思います。
電気設備図というのは、ちょっと読んだままですけど、建物の電気設備をどのような方針で造っていけば良いのか、という点について記載していく設計図になります。
一口に電気設備と言っても、建物には様々な種類の電気設備が存在していて、それらを適切な位置に配置していくには綿密な計画が必要なんです。
いくら建物自体のデザインが優れていて、使い勝手の良いプランが計画されていたとしても、電気設備が整っていないと台無しというしかありません。
・照明が点かない部屋
・コンセントが配置されていない為電源が取れない部屋
・コンセントにプラグを差し込んでも電源が来ていないから使えない部屋
などなど、ちょっとした例を挙げてみましたが、電気がない建物は機能的に成り立っていない事がすぐに分かると思います。
また、目に見えない部分になりますが、例えば建物の出入口にある自動ドアや昇降につかうエスカレーターなども、考えてみれば当たり前ですが電源が必要な動力によって動いています。
そうした部分への電源供給なども電気設備で計画しておく必要があるなど、電気設備は非常に多彩な範囲に及んでいます。
ざっと挙げていくと、電気設備は以下のような種類に分類することができます。
・受変電設備
・発電設備
・中央監視設備
・幹線設備
・動力設備
・コンセント設備
・照明設備
・放送設備
・映像設備
・インターホン設備
・通信設備
・テレビ設備
・自火報設備
・セキュリティ設備
・駐車場管制設備
・避雷設備
挙げてみると結構たくさんありますね…
例えば、大抵の建物は日中の運用時間を過ぎた後、外部から限られた人しか入れないように管理していく必要がありますが、これをセキュリティ設備で行います。
電気で自動的に施錠するとか解錠をするとか、センサーで人の出入りを監視したりとか、そうした設備をきちんと計画することによって建物の安全性が守られることに。
これはセキュリティ設備の一例ではありますが、こうして電気設備が受け持つ項目というのは建物にとって重要なものばかりなんです。
先ほど挙げた電気的に施錠する扉などでは、当然電気だけで検討してもあまり意味がなくて、建築で検討する建具とセットで計画する必要があります。
また、コンセントや照明のスイッチなどの壁に埋め込む必要があるもの、あるいは照明器具など天井に埋め込む必要があるものなども。
こうして電気設備だけではなく、建築との調整が必要なものが結構多いので、そのあたりを建築と電気設備とで調整していく必要があります。
建物の見た目に影響がある場合も多いので、壁や天井に埋め込むものについては緻密な検討が求められる場合も多いです。
こうして設計段階で意匠設計と電気設備設計とで整合を取りながら設計していき、その結果として電気設備の設計図が完成する。
電気設備を問題なくまとめていく為には、建築との絡みが少なからずある為、意匠設計者と調整しながら進めていく事になってきます。
まあこのあたりの話はどのような設備であっても同じではありますが…