設計図で作図する事になる外構図と、施工図で作図する外構図というのは、当たり前ではありますが同じ情報を表現していく事になります。
ただ、外構の方針を示す為の設計図に比べると、やはり実際に施工をするために作図する施工図の方が、より細かい部分についての表現が必要になる。
これは設計図と施工図の関係そのもので、意匠図と仕上図、構造図と躯体図の関係と全く同じになるので、それほど違和感を感じる事はないのではないかと思います。
このあたりの違いは、設計図がどのような情報を盛り込んでいくか、そして施工図がどのような情報を盛り込んでいくかの違いという話になります。
細かい情報がたくさん記載されている施工図の方が優れていて、情報が少ない設計図は図面として不完全だという感じで考えてしまいがちですが…
実際にはそれぞれの図面が持っている役割が違っているだけで、情報が多くてたくさん検討されている図面が良いという単純な話ではありません。
先ほども書きましたが、設計図と施工図とでお互いに図面の目的が異なるだけの話で「情報量が多い=優れた図面」という事ではありうません。
という事で、今回はもう少しだけ施工図の外構図について考えてみる事にします。
施工図の外構図では、設計図よりも細かくレベルを記入していく事が求められる訳ですが、それは当たり前ですが実際に施工をする際に必要だからです。
細かいポイントごとにレベルを設定しておかないと、外構レベルがそれで問題ないかの検証が出来ないので、確認の意味も含めてレベルを記入していく事になります。
外構レベルが問題ないかを確認する理由は、前回も少し取り上げましたが、外構レベルというのは完全な平ら状態では水が流れないから。
平らな部分に雨が降ると水たまりが出来てしまうので、そうした状態にならないように、勾配をきちんと計画して水を流していく必要があるんです。
この検討がきちんと出来ていないと、勾配の検討が足りずに水が溜まってしまうという状況になってしまい、そうなると後でそれを解消するのはかなり大変な作業になってしまいます。
そんな大変なやり直し工事をするよりも、事前に図面上でレベルの計画を立てておいた方が楽、というのが図面で検討をする理由です。
図面上であれば数字を少しずつ修正していけば済む話なのに、実際に出来てしまった後で外構レベルを直すのは大変な工事になります。
なので、設計図に記載されている情報をベースにして、外構レベルの検討を施工図の段階で細かく調整していく事になる訳です。
外構レベルは場所によって少しずつ違ってくるのはそうした理由があるからです。
こうしてレベルを細かく検討して外構図の作図をはじめると、レベルの記入に結構時間がかかってしまう事になるのですが、これが外構図の難しいところだと言えるでしょう。
毎回レベルを押さえる為に、この場所からいくつ離れているからレベル差がいくつ必要になって…みたいな検討をしながら作図していく訳です。
しかも相手は土とかアスファルト舗装などになるので、あまりにも細かくレベルを指定しても、きちんと図面通りにはならないという現実も。
だからある程度の誤差を見込みながら大雑把にレベルを設定していく必要もあります。
とは言っても、レベル設定を適当にしてしまうと、どこかで勾配が逆にってしまい外構計画が破綻することになったりする場合もあります。
細かく図面で指定しても難しいけれど、ある程度の正確さも求められるので、気を抜く事が出来ないというのが外構図ではないかと思います。
こうして説明しておいて書くのも変ですが、私はあまり外構図が得意ではないというのが正直な気持ちだったりします。
私の得意不得意は全然関係ない話ではありますが…次回も少しだけ外構図について書いてみることにします。