前回から少し話が長くなっていますが、総合図がどのくらい重要な図面なのかという話を色々と考えてみました。
壁がどのような部材で構成されているかという話よりも、どの位置にスイッチやコンセントが配置されているかの方が、建物を使う側にとっては重要になってくる。
このあたりの話は、自分が実際に建物を利用する事を考えてみると、恐らくすぐに納得出来るのではないかと思います。
だからこそ、スイッチ類の位置を確認する為の総合図は非常に重要な役割を担っている事になる、というような話が最終的な結論になりました。
もちろんそうした情報も、きちんとした壁が出来ていることが前提になるので、施工図が重要な図面ではない訳ではありませんが…
実際に建物を使う側にとっては、壁がきちんと出来上がっていることは当たり前の事です。
そこは設計や施工のプロが仕事をする訳ですから、建物を利用する側としてはあまり心配する必要はないという考え方です。
総合図で示されるスイッチやコンセントというのは、あくまでも壁の表層に表れてくるひとつの要素に過ぎません。
その裏には、コンセントやスイッチを実際に機能させる為に、見えない部分で色々な準備をしておく必要があるんです。
つまり、表層に見える要素の位置を確定させないと、壁内など見えない部分に配置される要素の位置も決まってこないという事を意味しています。
それでは施工を進める事が難しくなるので、総合図によって表層に見える部分の配置をきちんと決めておくという流れになる訳です。
最終的に見えてくるものであっても、施工段階できちんとした検討をした結果にあわせて施工を進めることが求められます。
そうした事前検討が不足していると、施工段階で壁を何度も壊したりなどの手戻りが多発することになって、結局は手戻りの分だけ工期とコストを圧迫する事に。
そうなってしまわない為に施工図は存在しますから、まずは図面でじっくりと検討をして、問題を出し尽くした後で実際の施工に入る事を目指していきます。
ただ、これは実際にやってみるとよく分かりますが、建物を利用する人や組織はたくさんあって、全員が同じ事を考えていないというのが難しい部分になってくるのですが…
そうした調整を繰り返しながら施工図を進めていくことで、竣工した後で大きな問題が発生する事を防ぐというのが総合図の役割になります。
例えばスイッチ関連でも、事前に計画を立てておかないと、以下のような感じで綺麗に並んでは来ないものなんです。
施工図として作図した平面詳細図に各種設備のスイッチなどを重ねていき、それぞれの設備毎に色を付けて印刷し、何がどの器具なのが分かるように凡例も用意しておく。
その総合図を広げながら、実際に建物を使う人が使い勝手を想像しながらコンセントなどの位置を確認していく、というのが総合図の基本的な流れになります。
できる限り使い勝手の良い建物を造り上げていく為にも、この総合図での検討を進める事と、お互いの考え方を調整するなどの作業が必要になってきます。
総合図の調整をきちんと済ませておくと、壁や天井のどこに器具が取り付くかがすぐに分かる状態になって、設計者にとっても施工者にとっても施主にとっても嬉しい状態に。
建物を造る際の流れを円滑にする為には、こうした嬉しい状況に出来るだけ図面を近付けていくことが非常に重要になってくる訳です。
スムーズで手戻りのない施工を進める為には、総合図の調整や打合せによって、どこに何が取り付けられるかを明確にしておくことがポイントですから。
という事で、総合図についての話はとりあえずこのくらいで終わりたいと思います。
まだまだ図面について書くことはたくさんあって、細かく色々と書いていくと終わりがなくなってしまいそうなので、ひとまずここで施工図と総合図についての話は終わりです。
詳しい話はそれぞれの納まり解説まで取っておくという事にして、施工図の次に作図する図面として、次は製作図についての説明に進みます。
