前回は建物の電気設備設計図を取り上げました。
建物がどのような形をしているか、というあたりについては意匠設計図や構造設計図が重要な役割を担う事になります。
しかし建物の外形だけが出来上がっても建物としては機能しないので、やはり色々な設備が重要な要素になってきます。
という事で、今回は電気設備に引き続き空調設備設計図について考えてみたいと思います。
空調設備という呼び方は少し省略している呼び方で、実際には「空気調和設備」になります。
つまり、建物内の空気についての設備という事になっていて、建物内に取り入れる空気、排出する空気、そして建物の中の空気をコントロールするのが空調設備です。
そうした建物内の空調についての方針を示しているのが空調設備図という事になります。
当たり前の話ですが、空気というのは目に見えないもの。
なので、建物内に流れる空気について適切な計画をしていく、と言ってもなかなかピンと来ない場合があるかも知れません。
また、空調設備の存在というのは建物内でも目立たないように配慮されている為、電気設備などに比べると目に見えずにイメージがしにくいという部分もあるでしょう。
建物内で空調設備として見えてくるものとしては、こうした空調吹き出し口がメインになってくる訳ですが…
あまりこうした部分というのは注目しないものですよね。
電気設備であれば照明などの光が実際に見える訳ですが、空気の流れというのはなかなか見えて来ない、という結構大きな差がある訳ですが…
確かに空気の流れというのはなかなか目に見えないものですが、室内の気温と湿度というのは確実に感じる事が出来るものだと思います。
室内の気温と湿度というのは室内の環境を決定的に左右するもので、その環境を左右するのが空調設備という事になる訳です。
この空調設備が建物にとってどれだけ重要なものなのか。
これは空調機が故障した部屋に滞在したりした経験がある方であれば、もうイヤと言うほど分かるのではないかと思います。
いくら建物のデザインが優れていて、検討された照明計画によって夜間に美しい照明が点いたとしても、蒸し暑い部屋であればもう台無しですよね。
もちろん建物にとってはどの設備がなくても困る訳ですが、室内の空気が適切な環境にないと仕事もままならないというのは事実でしょう。
という事で、建物にとって非常に重要な要素である空調設備について、今回は簡単に取り上げてみることにします。
実際に考えてみると、空調設備というのはあまり多くのカテゴリがないのですが、大雑把に分類すると以下のような感じになります。
・空調設備(冷房・暖房)
・換気設備
・排煙設備
先ほども説明した通り、建物内の空気に関する設備は基本的に空調設備という事になります。
なので、火災時に煙を建物外に排出する為の排煙設備も、空気に関する設備という意味で空調設備の中で検討することになります。
建物の室内環境をコントロールする手段は、なにも暖かい空気を吹き出したり冷たい空気を吹き出したりするだけではありません。
例えば部屋の床を暖かくすることによって室内の気温を暖める床暖房という考え方もあって、そうした設備も空調設備で検討する事になります。
床暖房については電気的に暖める場合と、お湯を使って温める場合があるので、電気設備になったり衛生設備になったりする場合もありますが…
そのあたりはケースバイケースという事で、ここでは空調設備として考えていくことにします。
こうして幾つかの手段を用いて室内の空気環境を整えるように検討していく。
これが空調設備の役割になっていて、そのあたりを検討した内容を図面としてまとめたのが空調設備設計図という事になります。