建物を造っていく為の指針となる意匠図には色々な図面がありますが、今回紹介する平面図は意匠図の要と言える図面になります。
どの図面を紹介している時にも「この図面は重要です」と書いている気もしますが、平面図は本当に重要な図面なので少しだけ強めにお伝えしたいと思います。
だからと言って説明の内容が変わる訳でもないのですが…
意匠図を構成する図面には色々な種類があります。
その中には外部仕上表や内部仕上げ表、断面図や矩計図など、建物の仕様や高さ方向の情報を表現する図面が意匠図には色々と用意されています。
そうしないと建物の概要を全体的に伝える事が難しいという事もあって、様々な種類の図面が用意されている、というのが大きな理由としてあります。
しかしこうした色々な図面は、あくまでも平面図をベースにして考えられている、という現実がある訳です。
平面図が意匠図の要となる図面、と言う紹介をしたのはそんな意味があるからです。
建物の基本方針となる平面図がまずはあって、それを元にして立面図や展開図や断面図など様々な設計図がさらに作図されていく。
平面情報を踏まえた上で、高さ情報をさらに盛り込んでいく事で、建物の全貌をより細やかに設計図として表現していく事が出来る、という話です。
もちろん、そうして建物の情報を深めていく為には、まず建物の平面プランをしっかりと検討して煮詰めておく必要があります。
とは言っても、そう簡単に平面プランが最終形まで煮詰めていくのは難しいもの。
何度も何度も調整しながら進めていく事になるはずなので、恐らく平面図は最も修正の手が入る回数が多い図面になるかと思います。
平面図の修正に合わせてそれぞれの図面も少しずつ修正していき…という作業はなかなか大変なものがあるはずです。
建物の規模によって平面図の大きさは変わってきますが、平面図は各フロアの平面情報を1枚の図面に表現していく事が一般的です。
1枚の図面に納める事を前提として作図する事になるので、縮尺は1/100~1/300程度になってくる場合が多いはず。
実際に図面を見て頂けると分かるのですが、縮尺1/300の平面図になると、大きさ的に本当に壁とドアと部屋名を表現して終わりという感じになります。
それで平面図の役割を果たしているのかを考えると、まずは建物の基本プランを説明するという最低限の役割は果たしている事になります。
紙に印刷する訳ではないので比較が難しいのですが、縮尺1/100の平面に対して縮尺1/300の平面というのはこんな感じに小さく見えるもの。
これではちょっと見る側も作図する側もやりにくいのですが…
それでもまずは各フロアの全体プランを表現していくことが重要になるので、出来るだけ見やすい状態を心がけながら作図していく感じです。
平面図で表現していくのは以下のような情報で、見て頂ければ分かりますが、本当に建物の平面プランとして基本的な情報ばかりです。
・通り芯
・壁の位置
・各室の名称
・出入口の位置
・窓の位置
・家具の配置など
細かい数値はともかくとして、こうした基本的な情報を重視して、まずは平面プランをシンプルな図面として作成していく。
これが意匠図の要である平面図になります。
細かい寸法などを検証していった結果、壁位置を微調整していく必要がある場合も結構多いものですが、そうした調整が入るのはもう仕方がありません。
それよりも、まずはどのような方針でプランを決めていくのかを平面図によって明確にしておく事が重要になってきます。