意匠図を構成する基本的な図面について色々と説明をしてきましたが、大抵の図面は紹介することが出来たのではないかと思います。
もちろん造ろうとしている建物の種類によっては、もう少し違うアプローチの図面が必要になってくる場合があるかも知れません。
しかし建物についての基本的な情報を説明する為の図面としては、今まで説明してきた図面を揃えればきちんと説明が出来るはず。
あとは設計者として表現したい情報があれば、基本的な意匠図のセットにプラスしていけば、伝達したい情報はより正確になっていくでしょう。
意匠図を構成する図面の種類には特に厳密なルールが存在する訳ではありません。
なので、建物の概要を説明する為に必要と思われる図面であれば、積極的に意匠図に盛り込んでいけば良いのではないか。
個人的にはそのように考えています。
あまりにも意匠図の枚数が増えてしまうと、そこに盛り込まれる情報の整合性を確保するのが困難になっていく傾向にあります。
なので、ある程度の枚数に意匠図を抑えておき、きちんと整合された情報を発信するという考え方もひとつの方針ではないかと思います。
さて、こうした基本的な意匠図の構成を紹介するのは今回で最後という事で、今回は外構図を取り上げてみたいと思います。
毎回のように意匠図の最後あたりに登場する図面でありながら、外構図はかなり重要な役割を持っているので、そのあたりを説明してみます。
外構図(がいこうず)という図面は、建物の外部から敷地境界線までの区間をどのように造っていくのかを表現する図面になっています。
なので、厳密に考えていくと建物を表現する図面とは少し違っています。
ただ、設計者は敷地の中にどのような建物を造っていくかを考える事が仕事なので、やはり建物の外部をどうするかは建物にとって重要な要素なんですよね。
建物にとって敷地内の計画が重要だからこそ、建物についての説明をしている意匠図の一部として外構図が組み込まれている訳です。
例えば敷地境界線に接する道路から、建物内に人をどのように引き込んでくるのか。
それによって建物のメインエントランス位置は決まってくるはずで、道路に面していない側を入り口に設定したら不便で仕方がありません。
例えば建物の地下に駐車場を設ける場合には、道路から地下に車をどのように導いていくかを計画しておく必要があります。
車の出入り口によってスロープの位置も変わってくるので、外部の計画が建物内にも影響してくることは間違いありません。
例えば建物の1階床レベルに対して周囲の地盤レベルが高い場合には、雨が降った際に雨水が全て建物内に流入してしまう事に。
そうなると建物としては非常に問題がある状態になるので、そのような事にならないよう外部のレベルをきちんと計画しておく必要があります。
…と、いくつか例を挙げてみましたが、建物にとって敷地境界線内の計画というのが結構重要な要素になってくる、という話でした。
建物外の車や人の動線を検討して、建物外に降ってくる雨をきちんと処理する為のレベル調整をしていく、というのが外構図の基本です。
しかしそうした基本だけを検討すれば良い訳ではありません。
そうした基本性能の検討というのは、あくまでも建物として必要とされる機能を満たすための条件でしかなくて、建物にはそれ以外の要素が必要です。。
建物の外部というのは最も人の目につく部分になるので、どのような植栽計画をするのかなど、意匠的な検討も基本性能と同じくらい重要なんです。
なので、敷地内にどのような木を植えていき、どのようにライトアップするかなどの計画も外構図では重要な要素になってきます。
こうした外部一式の図面を外構図と呼びますが、平面図や断面図や詳細図などが必要になるので、枚数としては結構なボリュームになるはずです。