設計者と施工者がお互いの知識と経験を出し合って、時には意見をぶつけ合いながら、見た目も良く性能も充分に満たしている建物を造っていく。
こうした流れで建物は造られていきますが、このカテゴリでは設計者と施工者との意見の違いというあたりに注目して話をしてきました。
設計者と施工者とで、お互いに少しずつ相手の意見を尊重しあいながら打合せを繰り返していき、施工を進めていく事になります。
こうした調整作業によって現場での施工方針が変わったり、既に施工してある部分が変更になったりするので、現場の進行を意識しながらの打合せが必要になります
検討していく項目だけでもかなり難しいのに、その上期限が決まっている状態というのは、正直なところかなりハードルが高い場合もあります。
しかしだからこそ、実際に施工を進める前に図面で打合せをした上で、設計者と施工者との共通認識を持つ事が重要になってくるんです。
そうした様々な努力に対して、竣工を迎えた建物がその努力に見合ったものなのか。
建物を造っていく中で色々な努力をする事も重要ですが、それに対して結果が出たのかも同じくらい重要な要素になるはずです。
これは当事者である設計者や施工者が一番分かるはずで、コストの関係で妥協した部分とか、検討が上手くいかずあまり綺麗に納まらなかったなどは色々あるかと思います。
積み上げた経験がある状態で、もう一度同じプロジェクトを最初からスタートすれば、恐らくもっと素晴らしい建物が出来上がるはず。
建物が竣工してそれをじっくりと見ていくと、私はいつもそのような気持ちになります。
なぜここでもう少し細かく気を配れなかったのか、と思うような部分は結構あるものです。
しかし、実際に全く同じような建物を受け持つことはなく、今回の経験が全く同じパターンで生かされるというのはなかなか難しいものがあります。
次に受け持つプロジェクトになると、そこで与えられる条件は色々と変わっていて、新しい条件に適した設計や施工が求められる事になります。
それが前回のプロジェクトと同じになる確率は非常に小さい、というのが現実でしょう。
このように色々と違う状況の中で、今までの経験を少しずつ生かしながら仕事をしていき、さらに色々な経験を積んでいく。
という流れが仕事のサイクルになってくる訳です。
今までの経験が生きて上手くいく場合もあったり、逆に今までの経験が邪魔になって失敗をしたりなど、なかなか仕事というのは上手いこといかないものです。
経験を積めば積むほど自分に自信が出てくるのは良いのですが、あまり自信がありすぎると人の話を聞かなくなるなどの弊害もあったりして…
経験が多ければ多いほど良い、という訳でもないのが難しいところでもあります。
とは言っても、しっかりとした基本が出来上がっていれば色々な応用が利くことになるので、経験してきた事が全く役に立たないというような事はありません。
色々なことを経験している方であれば、問題がありそうな部分を事前に察知することが出来たりしますが、それも今までの失敗が生かされている訳です。
こうした状況を考えると、プロジェクトに関わる人の経験が多く、スキルが高ければ高い程、良い建物が出来上がる可能性が高い、ということになります。
「スキルが高い人が仕事をすれば成果が出やすい」という話は当たり前過ぎる話ですが…
結局は今自分が持っている知識と経験しか武器がない訳ですから、その武器を頼りにしながら仕事を進めていくしかありません。
自分が持っていないもので勝負することなど出来ない、というのは当たり前の話ではありますが。
時々自分では出来ない事について、簡単に出来そうな事を言う人がいますけど、そんな口先だけの話というのは一緒に仕事をしていけばすぐに分かってしまいますから。