設計図というのは建物が最終的にどのようなものになるのかを示した基本方針ですから、その設計図をベースにして施工者は工事を進めていくことになります。
ただし、どのような手順で建物を建てていけば良いのか、というあたりの具体的な内容までは設計図に記載されていません。
なので、施工を進めるにあたっては、出来るだけ無駄な事をしないように進めていくことが施工者には求められます。
施工者は建物の完成度の他に、その事業によって利益が出たかどうかも重要視しますから、その為にも無駄を省いていく必要がある訳です。
そうした施工の進め方によって、施工者が見積金額の中で工事を完了出来るかどうかが大きく左右されることになり、利益が出るのか赤字になるのかが分かれていきます。
企業ですから当然利益を出すことが求められる中で、できる限り無駄を省いていく検討をすることが施工者の腕の見せどころ、と言えるでしょう。
ただ、建物にとって全ての指針となる設計図ではありますが、それが竣工の時まで絶対に正しい、という訳でもありません。
これが施工段階では結構重要な事になってきます。
設計図はあくまでも建物を建てていく為の基本的な指針となるものですが、それを施工者の提案と設計者との協議によって変えていく事は可能なんです。
「設計図をベースに施工を進める」というのは施工がスタートする時の条件であって、それが最後まで正解であり続けるという意味ではありませんから。
施工のプロとして具体的な検討をした結果、別の考え方で施工を進める事にしたいけれど問題はないか？ というような話を設計者に提案する事も出来るんです。
どのように施工を進めていくのかに加えて「どこまで設計図の内容を変えていくことを設計者に同意してもらうのか」という部分も施工者としては大きなポイントになってきます。
設計者から施工者に発行された設計図はあくまでも設計段階の図面であって、施工段階で途中何度も変更をかけていくことになるのが一般的です。
設計者が細かい検討をしていく中で変更になることもありますし、施主要望や打合せによって設計変更になる場合もあります。
そのような変更が多数あると施工者側としては困ってしまいますが、色々と状況が変わっていく中で、当初の設計図のまま何も変更なしというのは実際にはあり得ません。
だからという訳でもないのですが、そうやって変化していく設計図の中には、施工者からの提案が含まれていても別におかしくはない、という事が言えます。
設計図の内容を読み取って、設計者の意図をくみ取った上で、設計者が考えている方針から大きく外れないような種類の提案や要望をしていく。
それによって設計者も施工者もお互いにメリットがある、という事になるのが最高で、そのような提案をどれだけ施工者として出していけるかも、やはり施工者次第なんです。
提案や要望がうまくいけば、施工者としてはスムーズに工事を進めることが出来て、なおかつコスト的なメリットもある、ということになっていきます。
しかも設計者的にも建物の最終的な見た目が変わらないのであれば、設計者としても建物の見た目を少し妥協しなくて済むというメリットもある。
しかしそうした調整があまり出来ない場合には、やはり基本的には設計図通りに進めていく事になってしまいます。
もちろん施工を設計図通りに進めるのは普通の事なんですけど、場合によっては施主要望などの変更対応だけに追われることになったりもします。
それだけになってしまうと施工者としてはちょっと困るので、出来るだけ設計図の意図を守りつつ、コストや施工性などを考えた変更案を出していく。
建物の施工段階では、施工者側はそのあたりを考えて動いていく事になります。
