前回の説明では、施工者が様々な分野の工事を含めて建物を施工する工事一式を請け負う事になる、という話を取り上げました。
施工側の業務内容が広範囲に渡っているのは、やはり建物を造っていく際に必要となる工事の種類が非常に多いから、という事なのでしょう。
構造=鉄骨工事・鉄筋工事・コンクリート工事、意匠=建具工事・内装工事などなど、それぞれの項目は様々な工事に区分されていく事に。
それぞれの工事をゼネコンが取りまとめて管理していく事になる、というのが現状では建物を建てる際に最も効率が良いのでしょう。
もちろんそうはいってもゼネコン内にも人がたくさんいるので、それぞれのプロジェクトひとりで全部を担当するような事にはなりません。
建物の規模が小さい場合にはそうなる可能性も少しありますが、そうでなければ何人かでそれぞれの工事を管理していく事になります。
それぞれの工事項目は色々な絡みがありますから、工事を見ていく際には各種絡みを確認しながら施工と図面を管理を進めていきます。
このあたりが施工者の腕の見せどころという事になるので、それぞれの工事がどのように関係しているのかについては深い知識を持っておく必要があります。
ということで、設計者と同じように施工者がやるべき工事をざっくりと分類してみると、以下のような区分になるのではないかと思います。
□構造関連の工事
・杭工事
・鉄筋工事
・型枠工事
・鉄骨工事
・コンクリート工事
□意匠関連の工事
・防水工事
・建具工事
・ALC工事
・ECP工事
・金物工事
・木工事
・LGSボード工事
・仕上工事
・サイン工事
・外構工事
・植栽工事
□設備工事
・電気工事
・空調工事
・衛生工事
これは非常に大雑把な区分になっていますから、「これが施工者のやるべき仕事の全てです」と言うつもりは全然ありません。
ただ、まずはざっくりとした区分を考えるとこんな感じになります。
建築工事を細分化したそれぞれの工事の内容や納まりについては、もう少し後で詳しく解説をしていくつもりなので、ここでは簡単な紹介で終わっておきます。
まずはこうした細かく分類された工事を含めた施工一式を施工者であるゼネコンが請け負う事になる、という事を覚えておきましょう。
建物の施工を請け負う事について考えてみると、まずはゼネコンが工事一式を請け負うというところまでを前回は説明しました。
工事一式を請け負った後は、それぞれの工事を細分化していき、それぞれの工事を専門とする企業に分類して発注していくというパターンになります。
工事の請負形式は色々なパターンがあって、施主から建築工事はゼネコンに、電気・空調・衛生工事はそれぞれの専門企業に分離して発注する場合もありますが…
まずは一式をゼネコンが請け負って、そこからさらに様々な企業に工事を発注していくという基本的な流れは変わりません。
それぞれの請負形式にはメリットデメリットありますので、それらを天秤にかけてどういった発注形態にするかを判断してくことになります。
工事の請負形式によって少しずつ関係性は違ってきますが、こうした建築と設備の業務分担や、それぞれの関係についても少し細かく説明していくことが出来ればと思っています。
建築工事を請け負う企業が「ゼネコン」と呼ばれるのに対して、設備関係の工事を請け負う企業は「サブコン」と呼ばれたりします。
この後は、それぞれの企業についての説明や、それぞれの企業が持っている役割、施工者が作成する図面などについて色々書いていきたいと思います。