今までそれぞれの方が経験してきた建物の納まりやデザインなどを、今後携わるであろう建物に生かす事が出来れば、完成する建物のクオリティは少しずつ高まっていくことに。
そうして今までの経験を生かすには、やはり図面などの形で納まりなどをきちんと整理しておく事が必要になってくるのではないかと思います。
ちょっと理想的な話ではありますが、前回はそのような話を取り上げてみました。
設計者と施工者とで少し立場は違ってくるものですが、こうした「経験を生かす」という話はどのような業種であっても存在する部分ではないでしょうか。
あまり上手くない表現をすると、今まで失敗してきた経験を生かして、次は同じ失敗をしないようにするという感じでですよね。
経験というのは上手くいった方向の経験もありますが、上手くいかなかった方向の経験もあって、特に失敗した時の経験が貴重なものになる傾向にあります。
業務経験が長くなればなるほど、そうした失敗を経験している数も自然と多くなるので、やはり経験年数は重要な要素になると思います。
ただ、以前と同じ事を繰り返していく業務などでは、それほど色々な事を経験する機会がなくて失敗をすることも少ないかも知れません。
そうした状況にいる場合には、経験年数が長くなってもそれほど経験値としては多くはなっていない可能性もあります。
もちろん携わっている業務によってこうした部分は違ってくるとは思いますが、出来るだけ新しい事に挑戦して失敗出来る環境に身を置きたいものです。
例えば5年後の自分を想像した時に、多少は洗練されてはいるけれど、今と同じ作業をやっているのでは、ちょっと寂しいと私は感じてしまいます。
なぜ寂しく感じるかというと、恐らくそこに成長や進歩がないからだと思います。
色々な業種があるのでこうした一般論をすべてに当てはめるべきではありませんが…
それでもやっぱり仕事をしている以上、経験を積んで少しずつ違う業務に挑戦していきたいと感じるのは、プロとしてごく自然な事ではないかと。
ただ、こうした意識を個人で持っていなくても、会社としては働いている方をステップアップさせようとする気持ちを常に持っているはずです。
だからあまり心配しなくても良いと言うか、そこまで強く意識をしなくても同じ仕事を繰り返すだけでは会社は許してくれないと言うか…
今やっている仕事を普通にこなすことが出来るようになったら、次の仕事として今までより少し大変な仕事を与えられたりするかも知れません。
そうして気が付いたら部下が出来ていたりとかして、自分の業務だけをやっていれば良い訳ではなくなってくる、というようなパターンは結構多いのではないかと思います。
先ほども書きましたが、仕事の経験を積んでいくと、自分よりも経験のない人と一緒に仕事をする機会が結構増えてくることになります。
そうなると自分の仕事の事だけを考えている訳にはいかなくなるので、仕事の難易度はまずまず高くなっていく傾向に。
しかしそれは自分の知識を整理するチャンスでもあるんです。
仕事を教えるという事は、自分よりも知識が少ない相手に自分が知っている知識を伝える、という事を意味しています。
そうなると、自分が持っている知識を出来るだけ分かりやすく整理して、その整理した知識を相手に伝える必要が出てくるはず。
自分の中で整理されていない知識は、上手く順序立てて説明していくことなど出来ませんから、それでは相手に自分の意図を伝えることが難しいんですよね。
逆に考えてみると、相手になんとかうまく説明をしようとすると、自然と自分の中に雑多に積み上げられた知識を整理する必要がある、とも言えます。
これが人に仕事を教える際の最大のメリットです。
自分だけが分かっていれば何となく大丈夫な事も、人に教えるとなると正確で分かりやすい知識に整理する必要がどうしてもある。
その中で自然と自分の知識が整理されていく、という事になるのですが、これはなかなか自分からはやらない事なんですよね。
先ほども書きましたが、別に本人が強く意識しなくても、会社はその時が来れば自然と自分よりも経験の少ない若い人と一緒に仕事をするような体制を作ってきます。
それは結構面倒な事ではありますが、自分の知識を整理するチャンスでもあるので、ぜひとも丁寧に教える事に挑戦してみることをお勧めします。