今まで壁仕上材と天井仕上材との納まりという事をテーマにして色々話をしてきましたが、そろそろ説明する内容がなくなってきました。
壁と天井の関係を綺麗に見せる為には色々な部分に気を遣っていく必要がある、という事で細かい話をどんどん取り上げてみた結果、思ったよりもかなり説明が長くなってしまいました。
今回でひとまず壁と天井の取合いについての話は終わりになります。
巾木関連の説明に比べると内容としては少なくなると思っていたのですが、終わってみるとボリュームはあまり変わらない感じになってしまいました。
ちょっと細かい話が多すぎたのかも知れません…
今回は壁仕上材と天井仕上材との関係についての最後という事で、今までの話を簡単にまとめて紹介をしてみようと思っています。
抜粋して一気に紹介をしていきますので、気になるところがあったらその項目について詳しく読んで頂けると嬉しいです。
□廻り縁が必要な理由
壁仕上材と天井仕上材がぶつかる部分には、取合い部分を綺麗に納める為に「廻り縁」と呼ばれる見切材が必要になってきます。
そもそもなぜ廻り縁が必要なのか、という疑問もあると思います。
天井仕上材を貼っていく際には部屋の中央から施工を開始する場合が多く、端部は残った寸法を現場で計って天井仕上材を切って納める事になります。
天井仕上材を切った部分がまずは綺麗に見えないので隠すという理由と、天井の切り口が一直線に見えない状態をカバーするという理由。
この二つの理由によって廻り縁は必要になってきます。
時々廻り縁をなしにして納めたいという要望が意匠設計者から出ることもありますが、上記の理由から綺麗な状態で仕上げることが出来ない為、あまりお勧めする事は出来ません。
□廻り縁の材質
廻り縁は基本的に既製品を採用することになり、意匠設計者がカタログから「これが良い」という製品を選定する流れになります。
既製品と聞くとあまり良いイメージがないかも知れませんが、実際には選定に困ってしまうくらい色々な形状が用意されています。
主な廻り縁の材質は塩ビとアルミ。
ただし天井仕上材が白系になる場合が多く、アルミの材質を生かせるシルバー色を選択する機会が少ない事もあり、塩ビを採用する場合がほとんどです。
アルミの方が値段としては高いので、施工者としても塩ビで進めた方が良い、という理由もちょっとだけあります。
□廻り縁の形状
廻り縁の形状は塩ビ製でもアルミ製でも同じで、大きく分けて以下のような形状があります。
・コ型廻り縁
・十手廻り縁
それぞれカタカナの「コ」に似ているか、時代劇で良く登場する「十手」に似ているか、という割とシンプルなネーミングになっています。
「十手」という表現が今の時代に一般的かというとあまり自信はないですけれど…
シンプルな納まりになるコ型廻り縁よりも、天井と壁の間にちょっと目透かし部分が出来る十手廻り縁の方が、意匠的には良いとされています。
別にコ型廻り縁に比べて十手廻り縁の方が高いとかではないので、それならば積極的に十手を使っても良いのかも知れません。
□天井仕上材の厚みによって
廻り縁は既製品として様々な製品が用意されています。
納まりとしてはコ型廻り縁でも十手廻り縁でも、天井仕上材を挟んで納めていく事になる製品なので、天井仕上材によって少しずつ仕様が変わって来ることに。
そのあたりはメーカーも充分に分かっていて、最終的には同じ見え方になる廻り縁でも、天井仕上材の厚みに対応する様々な形状の製品が用意されています。
施工者としては、それぞれの天井仕上材の厚みを把握しておき、その部屋に合う廻り縁を注文すれば問題なく納まることになります。
天井仕上材を挟む際には、0.2mm~0.5mm程度のクリアランスが必要で、それが確保されていないと天井仕上材が入らない状況に。
もちろんそのような寂しい状況にならないように、天井仕上材の厚み+クリアランスを見込んだ既製品がしっかりと用意されているので、そこは特に心配する必要はありません。