□石張り
壁に石を張っていく場合、施工の順番として石をどのタイミングで張っていくかという問題はありますが、壁勝ち納まりが一般的ではないかと思います。
無駄に石を伸ばしていくのは勿体ないので、天井仕上面から50mm程度まで石を伸ばしておけば、特に問題なく納める事が出来ます。
天井仕上材が岩綿吸音板でもアルミパネルでも、もしくは塗装仕上であっても、納まりとしては壁勝ちになっていれば問題はありません。
ここであえて石張りの壁に対して天井勝ち納まりにした場合について考えてみると、下図のような納まり関係になります。
納まることは納まるけれど、施工が複雑になる割にはあまり見た目が良くないという残念な状態になってしまいます。
乾式工法で壁の石を張っていく場合には、石の裏側には天井をぶつける相手が特にない状態になるので、天井勝ち納まりにするのはちょっと変なんですよね。
□タイル
壁仕上材としてタイルを選定する場合には、石と違って壁下地に石膏ボードもしくは鉄筋コンクリート壁が存在していると思います。
そう言った意味ではタイルに対して天井勝ち納まりにする事も可能ではありますが、やはり色々な納まりを考えると、タイルの場合は壁勝ち納まりが無難です。
タイル割りの基準をどこに設けるかにもよりますが、天井付近にあまり小さいタイルを入れてしまわないように考えながら、壁勝ち納まりで検討をしていきます。
タイル割付によっては少しだけ天井の高さを下げるとか上げるなどの調整も出来るので、事前にタイル割付と天井面との関係を明確にしておいた方が良いでしょう。
床取合いにも小さいタイルが入らないようにして、天井取合いにも同様い小さいタイルが入らないように計画していく。
なおかつ出入口の建具枠でも綺麗にタイルが割れている、という状態にするにはちょっと一手間をかけてあげる必要があります。
そうした調整をすることによって、その部屋のタイルが綺麗に揃うことになるので、そこは一手間をかけて検討していく価値はあると思います。
もちろん厨房などのバックヤードで、なおかつ厨房機器などがたくさん入って壁面が隠れてしまうような部屋では、あまり気にしなくても問題はありませんが…
それでも「この部屋は見た目をあまり気にしないので、タイルを綺麗に割付していません」という理由は特にないんですよね。
せっかくタイルを貼っていく部屋であれば、天井仕上材との関係も含めて、ある程度おかしくない程度には割付を検討しておいた方が良いと思います。
□コンクリート打放し
コンクリート打放し仕上の壁であれば、天井勝ちとか壁勝ちなどの考え方は全然関係なく、当然のように壁勝ち納まりという事になります。
ただ、コンクリート打放し仕上の面がどの程度平滑に仕上がっているかが微妙な場合もあるので、十手廻り縁を採用した方が良いかも知れません。
コ型廻り縁は壁面との隙間が比較的目立つ納まりなので、コンクリート面にぴったりとくっついたり、場合によっては少し隙間が出来たりが分かってしまう可能性があります。
それならば、目透かし納まりにして微妙に目透かしの寸法が違っている、という見え方の方がまだ目立たないのではないかと思います。
あまりにもコンクリート面が凸凹していたら、こうした配慮もあまり意味がないですけど…
壁仕上材が石膏ボードではなくちょっと特殊な仕上材の場合、天井取合いがどのような関係になるのか、という話はこのあたりで終わりになります。
Dボードやアルポリックなど、石膏ボードに後から貼っていく納まりと比べると、基本的に壁勝ち納まりになっていることに気が付くと思います。
もちろん上記で紹介した壁勝ち納まりは、納まりを考えると絶対にそうしなければダメ、と言った種類のものではありません。
ただ、そうした方が施工も楽だし見た目も良いという感じになるので、関係性を考えていくと自然とそうした結論になる場合が多いはずです。
見た目として問題ないようであれば、施工が楽に進んだ方が良いに決まっているので、出来るだけ設計者も施工者も嬉しいという納まりに決めていくことをお勧めします。
壁が特殊な仕上材になっている場合についての話はこれで終わりにして、次回は天井仕上材がちょっと特殊な納まりの場合について考えてみることにします。