□天井の納まりによる違い
天井仕上材によって廻り縁の形状は少しずつ違ってきます。
また、天井仕上材を軽量鉄骨天井下地に直接張っていくタイプなのか、石膏ボードを1枚張ってから天井仕上材なのかによって、廻り縁の納まりは少し違ってきます。
結局は廻り縁をどこに固定すれば良いのか、という話になるので、それぞれの納まりパターンを押さえておくことが重要になってきます。
断面図についてはそれぞれについて説明した際に紹介しています。
断面図の枚数もそこそこ多かったため、図面を出す事はやめておきますので、興味がある方はそれぞれの項目を読んで頂けると嬉しいです。
□特殊な天井仕上材の場合
天井仕上材が石膏ボードや岩綿吸音板ではなく、アルミパネルなどちょっと特殊な仕上材だとしたら、場合によっては廻り縁をなしに設定出来る可能性があります。
・アルミパネル
・アルポリック
・化粧ケイ酸カルシウム板
壁との関係も確認しつつ断面をまずは描いてみることで、廻り縁を取り付けない方が綺麗に納まる場合もある事が分かったりします。
まずは廻り縁ありきで検討をするのではなく、特にちょっと変わった天井仕上材であれば、納まり詳細図を描いてみることをお勧めします。
□特殊な壁仕上材の場合
天井仕上材だけではなく、壁仕上材が特殊なものになる場合にも、場合によっては廻り縁がない方が綺麗に納まる場合があります。
・アルミパネル
・石貼り
・タイル
・コンクリート打放し
・化粧ケイ酸カルシウム板
・Dボード
・アルポリック
・メラミン化粧板
これも特殊な天井仕上材の場合と同じで、まずは納まり詳細図を描いてみて、どの関係性が最も良いかを断面図によって判断していく事をお勧めします。
□天井勝ちか壁勝ちか
特殊な天井仕上材や壁仕上材の場合には、天井と壁との取合いで「どちらを勝たせる納まりにするか」を検討することが重要になります。
壁に対して天井をぶつける「壁勝ち納まり」がまずは一般的納まりです。
しかし壁仕上材や天井仕上材が特殊な納まりの場合には、一般納まりから変えた方が良い場合もあるので、断面図によって検討をしてみる事をお勧めします。
また、アルミパネルや石などの仕上材は天井裏になる部分にあっても意味がないので、壁勝ち納まりが最終結論であっても、天井高+50mm程度で止めておく事になります。
50mmという数値にあまり深い意味はなくて、施工精度もあるので少し伸ばしておく、というニュアンスなので30mmでも大丈夫です。
□廻り縁自体の厚み
納まり検討図を作図してみると、実際には廻り縁自体に1mm程度の厚みがある関係で、天井仕上材と下地の石膏ボードなどがピッタリ密着しない事が分かります。
実際には接着剤の厚みなどもあるので、多少の隙間がありながら納まっていて、廻り縁部分で少しだけ隙間が大きくなっている、という感じになるはず。
ただ、こうした関係を通常の納まり検討図で表現していくと、非常に時間と手間がかかる割には1mm弱の隙間が表現出来るだけになってしまいます。
これはあまり効率が良くないので、隙間があく事は承知の上で、図面としては隙間なしで作図していくのが正解ではないかと思います。
こうした現実があることを知っておくと、どこかでその誤差を調整出来るように、クリアランスをとった納まりを心がけるようになるはずです。
これは廻り縁だけの話ではなく、全ての部分に共通して言える非常に重要な考え方だと思います。
□天井までの建具枠取合い
部屋によっては鋼製建具枠を天井まで伸ばしていく場合があり、天井にぶつかる部分で廻り縁と絡んでくることになります。
天井まで鋼製建具枠を伸ばしていくというのは、意匠的な目的でそうしているはずなので、廻り縁との関係も出来るだけ綺麗に納めたいところです。
まずは建具枠と壁との間にある「チリ」を意識しておき、チリの中にコ型廻り縁を納めてぶつけていくという納まりにするか…
それとも目透かし寸法をチリに合わせるか。
どちらかの納まりを当サイトではお勧めします。
廻り縁をぶつけるのか、それとも天井仕上材を飲み込ませるのかによって、建具枠の形状も微妙に変わってくることになるはず。
そのあたりの調整もやっておくと、施工がスムーズに進み見た目も悪くないという理想的な状態になるので、最終的にはそこを目指していく感じになると思います。