天井仕上材には種類によっていくつかの厚みが存在しているので、それに合わせた廻り縁がそれぞれ用意されています。
最終的な見た目としては同じになるのですが、天井仕上材によって選定すべき廻り縁の品番が変わってくるので、そのあたりを施工者としては注意しておく必要があります。
というような話を前回は取り上げました。
これはちょっと地味な話ではありましたが、製品によっては天井仕上材の厚みに対応したタイプがない場合もあるので、事前に調べておく必要があります。
結構困るのが、ケイ酸カルシウム板の10mmなど、ちょっと特殊な厚みの天井仕上材を採用する場合で、全く適した製品がない事もあるのが怖いところです。
そうした天井仕上材は恐らく非常に限定された部分でしか出てこないはずなので、対応する製品がない場合は元々ある製品を切って納めるなどを検討する必要があります。
これは手間がかかるけれど可能ではあるので、物量が多くなければ特に問題なく廻り縁を加工して納めていくことが出来ます。
ちょっと特殊な納まりについてはその場で考えるしかありませんが、今回はまず非常に一般的な天井仕上材の納まりについて一通り調べていくことにします。
ある程度パターンは限られてくるはずなので、そのパターンを押さえておくことが出来れば、先ほどちょっと例に出した変則的な納まりにも問題なく対応することが出来るはず。
天井仕上材の納まりは大きく分けて二種類、軽量鉄骨下地に直接張っていくタイプと、石膏ボードの上に貼っていくタイプがあります。
廻り縁の大きな区分も二種類あるので、今回はその大きな区分としての4種類の納まりをざっと説明していくことにします。
□天井直貼り+コ型廻り縁
天井直貼りタイプの天井仕上材として最も多く採用されるのが化粧石膏ボードで、これは建物の様々な部分で施工されていくことになると思います。
天井仕上材のグレードはそれ程高くないので、廻り縁のタイプもそれ程こだわる場合は少なく、恐らくコ型の廻り縁でも問題ない場所になるはず。
天井仕上材が1枚しかない状態なので、廻り縁をしっかりと軽量鉄骨下地に固定していく必要があるのですが、納まりとしては特に問題はありません。
□天井直貼り+十手廻り縁
先ほども書きましたが、直貼りタイプの天井仕上材はそれほど意匠的にこだわっている部分では採用しない傾向にあります。
白く塗装しているとは言え、ビス頭が見えてくる納まりになるので、見た目を意識したい部屋では岩綿吸音板などの天井仕上材を選定した方が綺麗に納まります。
そう言った意味では、意匠的にちょっと奥まって見せたいという十手廻り縁と、直貼りタイプの天井仕上材の組み合わせはそれほど多くはないかも知れません。
ただ、それほど化粧石膏ボードではなく直貼りタイプの岩綿吸音板であれば、それほど見た目としては問題がないので、十手廻り縁との組み合わせも考えられます。
納まりとしては特に上図で問題ないはずで、単純にコ型の納まりが十手に変わったというイメージで大丈夫です。
□天井二枚貼り+コ型廻り縁
天井を二枚貼るという事はつまり、軽量鉄骨天井下地に石膏ボードを張って、その上に岩綿吸音板や石膏ボードを貼る納まりという事を意味しています。
その場合のコ型廻り縁の納まりとしては、一枚目に張った石膏ボードに対して廻り縁を付けていくという関係になってくる事に。
廻り縁の納まり自体はそれ程難しくなる訳ではなく、ただ取り付ける相手が軽量鉄骨天井下地から石膏ボードに変わるだけです。
□天井二枚貼り+十手廻り縁
天井仕上材の下地として石膏ボードを張る納まりの場合、特に岩綿吸音板では意匠的に力を入れたい部分である可能性は高くなります。
そうした場所であれば、少しでも廻り縁を綺麗に見せたいという考え方になるので、十手廻り縁が採用される場面が多いかも知れません。
コ型廻り縁の納まりもシンプルなものでしたが、今回の場合も同様にあまり難しい納まりではなく、石膏ボードに十手廻り縁を取り付ければOKです。