前回は廻り縁の材質について、大半が塩ビ製の廻り縁で、比較的高価なアルミ製も時々あります、という話を取り上げました。
シルバーのアルミ色を見せるなら別ですが、白系の色にしてしまうとあまり見え方としては変わらない状態になるので、そう言った意味でも塩ビが選ばれる、という話もありました。
材質については「迷ったら塩ビで問題ない」という意見をここでは書いておくことにして、廻り縁の形状についての話に進んでいくことにします。
廻り縁の形状には色々なタイプがありますが、大きな分類で分けていくと以下の二種類になってきて、まずはそのどちらにするのかを考える事になります。
・コ型廻り縁
・十手廻り縁
上記の呼び方を見てもあまり形状がピンと来ない感じもあるので、ここではそれぞれの形状について簡単に説明をしていきたいと思います。
□コ型廻り縁
カタカナの「コ」という文字に似ている形状の廻り縁を「コ型」とか「コの字」という呼び、コ型の面がある部分を壁にぶつける感じで納めます。
反対側に天井仕上材を差し込んでいくことで、壁仕上材と天井仕上材との隙間を綺麗に納めていく事になります。
廻り縁の納まりとしてオーソドックスなのがこちらの「コ型廻り縁」で、選定する品番によって目立つタイプとあまり目立たないタイプとがあります。
どちらかと言うと、意匠設計者としてはあまり廻り縁を目立たせたくないと考えるので、見付が出来るだけ小さい製品を選定する傾向にあります。
施工者としては、見付が大きい方が施工の調整がやりやすいので、出来るだけ大きめの製品を選定して欲しいと思ってしまうのですが…
出来るだけ目立たせたくないという意匠設計者の意向によって、あまり逃げがきかないタイプの廻り縁で納めることになる場合が結構多いです。
結局天井面は目線から遠いので、目立つとか目立たないなどの議論はそれほど重要なものではないとは思いますが…
出来るだけ綺麗に見えるような廻り縁を選定するように考えるのが意匠設計者の仕事ですから、何でも良いですという話にならないのは当然の事でしょう。
□十手廻り縁
十手(じって)廻り縁というのは、時代劇とかに良く出てくるあの「十手」のような形状という意味でそう呼ばれています。
上記が十手になります。
そういえば時代劇とかを見ると、この十手を持った人がたくさん登場して犯人を追いかけるシーンがありますが、本当に皆が「御用だ!」を連呼してたんですかね。
あんな事をしてたら目立ってしまいどこから追われてるかも分かるし、追いかける方も叫びながら走るのでは疲れちゃうのではないかと心配になります。
とまあそんな話はさておき、その「十手」の形状に似ているのが「十手廻り縁」になりますが、正直なところ似ているかどうかは微妙な気がします。
上図が十手廻り縁になりますが「目透かしタイプ」と呼ばれることもあり、個人的にはこちらの呼び方の方がしっくりきます。
とは言え十手と呼ぶ方の割合は経験上かなり多いので、頑なに「十手には似てないからそんな呼び方は使わない!」と言ってもあまり意味がないので、十手という呼び方で紹介をしています。
十手廻り縁は目透かしタイプとも呼ばれるだけあって、壁仕上材と天井仕上材との間が奥まって見えるという特徴があります。
コ型廻り縁との違いは少しだけのような気がするかも知れませんが、最終的な見た目はかなり違ってくる事になるので、その違いを一度自分の目で見ておくことをお勧めします。
天井の周囲が面落ちしているだけで雰囲気が変わってくる事もあって、意匠設計者は十手廻り縁の方を好む傾向にあると思います。
実際の出来上がりも、もちろん個人の好みはあるとは思いますが、十手の方が美しく見えるのではないかと私は思っています。
十手廻り縁にも色々な寸法の製品があるのですが、コ型と同様に見付が小さいタイプが採用される傾向にあり、恐らくその方が綺麗に見えると思います。