壁仕上材と天井仕上材との取り合い部分には、通常廻り縁を取り付けていくことになりますが、場合によってはピクチャーレールを取り付けることもあります。
前回はそのあたりの話を取り上げていき、ピクチャーレールが持っている役割や見た目などを具体的に紹介してみました。
絵や写真などを飾る場合で、なおかつ壁に釘や画鋲などによる穴をあけないで納めたい、という場合にはピクチャーレールがあると非常に便利です。
もちろんピクチャーレールを有効に活用する為には、事前に絵や写真などを飾る予定の場所を確定しておき、その場所に設置しておく必要がありますが…
そうした下準備をしておけば、後は吊る側がレールになっていますから、微妙な展示位置などの調整は特に必要ないというメリットがあります。
こうした便利さがあるからこそのピクチャーレールという事で、今回はピクチャーレールの具体的な納まりについて説明をしていきましょう。
「建築の納まりを検討する」というと、建物が完成した瞬間の納まりを重要視した検討をしていく傾向にありますが…
実際の建物は机や家具など、施主が用意するものもかなり多くあるので、そのあたりを考慮した建物を造っていく必要があります。
そうしないとせっかく事務室で机を配置してみたものの、コンセントが近くになかったりとか、そういう初歩的な失敗をする可能性…
これははっきり言ってかなり恥ずかしいです。
今回説明するピクチャーレールも同様で、ピクチャーレールを設置したけれど、そこには書棚を配置する予定だったなどがないような調整が求められます。
こうした取り付け位置の調整が済んでいるという前提で、まずはピクチャーレールの納まりですが、基本的な納まりのパターンがいくつかあるので、まずはその紹介から。
・天井面に埋め込み納まり
・天井面に露出納まり
・壁面に埋め込み納まり
・壁面に露出納まり
ピクチャーレールを天井に取り付けるか、それとも壁に取り付けるか、そして取り付け方法は埋め込みか露出か、という区分ですね。
もちろんピクチャーレールも商品としてそれぞれのタイプが用意されているので、目的に沿った品番を選定して納めていけばOKです。
具体的な納まり断面図をこれから紹介していきます。
まずは天井面に埋め込み納まりですが、これはもう読んだままで天井面に取り付けられて、なおかつ天井仕上材に埋め込まれている関係になっています。
見た目はこれが最もすっきりしているかも知れません。
ただ、天井仕上材を貼っていく前にピクチャーレールを取り付けておく必要があるので、施工のタイミングとしては若干早め。
次に天井面に露出納まりの場合ですが、断面図としてはこのような感じになります。
天井内に埋め込まなくても良いので、天井を仕上げた後で取り付けることが出来るというメリットがありますが、露出納まりになっている分だけ少し見た目としては劣ります。
ここまでのピクチャーレールは天井面に取り付けられていましたが、ここからは壁面に取り付けられる場合の納まりとして、まずは壁面に埋め込み納まりだとこんな感じです。
機能としては、どちらにつけてもピクチャーレールの役割を果たしてくれるので、どちらの納まりでも特に問題なく納まります。
ただし、石膏ボード面を1枚切り欠いている納まりになっているので、防火区画などの性能が必要な壁であれば増し貼りなどの対応が必要になります。
次に壁面に露出で納める場合の図面ですが、イメージとしてはこんな感じになります。
この納まりの場合、壁の天井も仕上がってからピクチャーレールを取り付ける事になるので、タイミングとしてはかなり後で良くなります。
色々忙しい中で検討が進まない場合も結構多いので、後で検討しても大丈夫という納まりは、施工者にとっては非常にありがたい存在だと言えるでしょう。
ただし、天井取り付けで露出になっているピクチャーレールにと同様に、見た目としてはそれほど優れている訳ではないので採用する場合には注意が必要です。
天井までの鋼製建具枠のチリ寸法よりも出が大きいので、枠取り合い部分がちょっと失敗した感じになるのもちょっとイヤな感じ。
こうした色々を考えていくと,意匠的には天井面に埋め込み納まりが一番すっきりと納まるのではないかと思います。