巾木の仕上として主なものは前回までの話で一通り紹介をしてきました。
それぞれの巾木によって床との関係が少しずつ違ってきていて、床仕上材によっても納まりを変える必要があるなど、なかなか巾木も奥が深いものなんです。
また、今まで説明してきた巾木以外にも、世の中には色々な商品が開発・販売されているので、色々と調べてみると面白いと思います。
例えばセキスイのメタカラーという建材は、樹脂材にアルミ箔やステンレス箔を貼り付けることによって、軽量で見た目は金属という巾木を実現しています。
こうした仕上材が世の中にはたくさんあるので、そうした仕上材の種類を知っておき、適切な場所に選定していくことによって、建物の見た目とコストのバランスが良くなっていきます。
本物の金属が持っている質感とは少し違っているかも知れませんが、見た目としては充分金属に見えるので、それで充分だという考え方もあります。
もちろんこのあたりの判断は意匠設計者がしていくもので、やはり本物のステンレスが良いという場合もあると思います。
そして、場所によってはそうした仕上材を選定していった方が綺麗に見える、という場合もあるので、ある程度バランス感覚を持って判断していくことが必要でしょう。
先ほど紹介したメタカラーも時代と共に少しずつ変わっていくかも知れません。
今は非常に意匠的に優れた仕上材ですが、もっと良い仕上材が開発される可能性もあるので、結局はその時にある最も優れた仕上材を選定していくのがベストなのでしょう。
石やタイルなどは時代によってあまり変わらないので、これ以上仕上材として進化しない代わりに、長く親しむことが出来る仕上材と言えるかも知れません。
もちろん時代を感じさせる建物が逆に良い、という事もあるので、そのあたりを含めて建物をどう見せていきたいか、意匠設計者の考えは非常に重要です。
ちょっと話に収拾が付かなくなってきましたね…
巾木の商品を深く調べていくと細かくなりすぎるので、特徴や納まりについての話はこれで終わりにしておくことにします。
今回は巾木納まりについての話として、ちょっと順番が違ってしまったかも知れませんが、出巾木と入巾木の特徴について考えてみましょう。
今までさんざん「入巾木の場合は…」みたいな説明をしてきて「今さら」という感じもありますが、今回は巾木の納まり方針の種類として、以下の納まりについて簡単に説明をします。
・出巾木(ではばき)
・入巾木(いりはばき)
出巾木と入巾木とで何が違うのか、という点をまずは書いてみると、理屈は非常にシンプルで「壁面に対して出ているか引っ込んでいるか」という違いがあります。
・出巾木 → 壁面に対して巾木面が出ている
・入巾木 → 壁面に対して巾木が入っている(引っ込んでいる)
という感じの考え方です。
図面で表現すると一目瞭然ですね。
巾木は基本的にどの仕上材であっても厚みがあるものですから、そのまま壁に貼っていくと自動的に「出巾木」納まりになります。
しかしそうした納まりを意匠的に嫌う場合もあって、そのような状況になった時には、納まりを工夫して「入巾木」になるように調整をしていく事になります。
見た目としてどちらが優れているのか、という話をここで決めるのは難しく、結局は意匠設計者の好みという漠然とした結論になってしまうのですが…
一般的な話としては、意匠的に力を入れたい部分では、意匠設計者は比較的入巾木納まりを好む傾向にある、という感じになっています。
もちろん統計を取ったわけではなく、今までの私の経験からこうした結論を書いているだけなので、信憑性としてはあまり強い根拠ではありませんが。
それでもやはり納まりを一工夫して入巾木で納める、というのが好きな意匠設計者は一定数いるのではないかと思います。
次回はそんな出巾木と入巾木の特徴について、もう少し細かい話をしていきたいと思います。