巾木の種類にはどのようなものがあるのか、という話題の中で、巾木の納まりには大きく分けて二種類あるという話を前回は取り上げました。
・石巾木
・木製巾木
・タイル巾木
・床材立上げ
・金属製巾木
・ビニル巾木
仕上材として巾木の材質には上記のような選択肢があるのですが、大まかな区分としては「厚みがどの程度あるのか」という事になります。
石や木やタイルのようにある程度厚みのある仕上材と、金属製巾木やビニル巾木のようにそれ程厚みがない仕上材があります。
それらを壁面に対してどのように納めるのか、という部分を考えていく事が納まり検討では重要になってきます。
納まりのパターンは幾つかあるので、それぞれの巾木仕上について順番に説明をしていく事にして、今回は石巾木の納まりとその特徴について説明をしていくことにします。
巾木の材質を石にしたい場合というのは、ほぼ間違いなく床仕上材で石を選定している場合ではないかと思います。
床をタイルにしている場合には巾木も石ではなくタイルになるし、床フローリングの場合でもやはり石巾木は少し変なので、結局は床が石の場合に石巾木という感じになります。
壁がLSG+石膏ボードの壁という前提で話をすると、石巾木の具体的な納まりはこのような感じになります。
石は厚みのある仕上材なので、上図のように壁面としての石膏ボードより巾木面が大きく出てしまうことになります。
そうした納まりは意匠的に避けたい、という話になるのであれば、石膏ボードを1枚切り欠いてそこに石巾木を納める事も可能で、納まりとしてはこの方が美しいです。
石種は一般的には床と同じにすることが多いですね。
ただ、床を石張りにするグレードの場所であれば、壁も石張りになっている場合が結構あるので、その場合は巾木を設けない納まりにした方が良いです。
壁が石張りの場合は下図のような納まりになるので、見た目的にも機能的にも巾木が必要はならないので、壁の石を大きく見せる為に巾木をなくしておく、という考え方ですね。
壁が石の場合でも巾木が石の場合でも、一般的には床の石張りとの関係は、壁もしくは巾木が勝つ納まりになります。
「勝ち負け」という表現は建築の納まりで良く出てくる言葉ですが、壁と巾木が床に対して勝つ、というのは先ほど紹介した図面の状態で、床が勝つ場合は以下のような納まりになります。
頑張れば壁や巾木に対して床を飲み込ませる納まりも出来るのですが、そこで頑張るメリットはあまりないので、一般的には巾木が床に対して勝つ納まりになる場合がほとんどだと思います。
床に石を張っていくのは、工程としては最後の方になるので、どうしても壁や巾木を先に施工して、それに対して床仕上材を止める納まりの方が都合が良いんです。
それで見た目が悪い状態にはなりませんので。
巾木とは言っても石ですから目地はどうしても必要になってきますが、巾木の目地割り当然床と合わせていくのが基本になります。
ただ、施工者の感覚をここで書いてしまうと、床と壁の目地を合わせるというのは意匠的には良いけれど本当は避けたいと言うのが本音です。
床と巾木の目地を合わせようとしても、施工精度が悪い場合にはどうしても合わなくなることがあるので、そうなると「ちょっとだけずれている」状態になってしまます。
そうなると見た目が非常に悪くなってしまうので、ずれが目立たないように目地を「またぎ」にしておきたいと考えるのが施工者です。
しかし床の石も巾木の石も、かなり高い精度で施工をすることが出来るはずなので、石であれば床と巾木の目地を合わせることに問題はないと思います。
石巾木の特徴や具体的な納まりと注意点についてはこんな感じですね。
次回は引き続き巾木についての話という事で、木製巾木の納まりなどについて話を進めていくことにします。