前回は金属巾木の特徴と具体的な納まりを紹介していく中で、床仕上材が石とタイルの場合の納まりまでを説明することが出来ました。
巾木に厚みがそれほどないという事と、床仕上材の端部にシールが必要という点から考えると、巾木を伸ばしておいてそこに床仕上材をぶつける「巾木勝ち」納まりが良い、という話でした。
それほど厚みがない巾木の納まりと厚みのある床仕上材の関係は、薄い巾木を伸ばしておく納まりが正解なのかも知れませんね。
今回は引き続き金属巾木の具体的な納まりという事で、床仕上材がフローリングの場合の納まりにいての話から進めていくことにします。
床仕上材がフローリングで巾木が金属の場合には、やはり石やタイルなどと同様に、巾木を伸ばしておいて床をそこにぶつける納まりが基本でしょう。
ただ、フローリングの端部に入る緩衝材は、性能的に必要な事は分かるのですが、見た目という意味ではあまり良いものではありません。
納まりの雰囲気は石やタイルの場合と同じになるのですが、フリーリングの端部は石やタイルほどには綺麗に切れないという理由もあります。
こうした色々な状況を考えていくと、床がフローリングの場合には、巾木も同じような色味の木を採用すれば良いのかも知れませんね。
次に床仕上材がタイルカーペットの場合ですが、この場合は床コンクリートも下がっていない状況になっているはずなです。
そうなると、コンクリートまで巾木を伸ばしておき、そこにタイルカーペットをぶつけるという巾木勝ち納まりが良い感じになります。
カーペットを伸ばしてその上に下端がすっと通っている金属巾木を採用すると、床はカーペットなので多少の凹凸があり、巾木の下端は通っている事になります。
そうなると、少し巾木の下に隙間があるように見えてしまい、意匠的にはそれほど良い状態にはならないので、やはり巾木勝ち納まりの方が良いと想います。
次に床仕上材が長尺塩ビシートやビニル床タイルなどの場合ですが、こうした塩ビ系の床仕上材の場合は巾木も塩ビ系の方が良いと私は思っています。
もちろん納まらない訳ではなくて、見た目の統一感という意味ではビニル巾木の方がしっくりとくるのではないかと。
しかしトイレの巾木などでは、トイレブースの足元がステンレスである場合が多く、ブースの巾木と見た目を合わせるという目的で金属巾木にする場合があります。
トイレブースの足元が上図のような見映えであれば、一般の壁部分でも同じように金属巾木として見せたくなるのが自然な考え方かも知れません。
そうした理由から、床仕上材が長尺シートや塩ビタイルの場合でも、時には金属巾木を採用することがあって、その場合の納まりはこんな感じになります。
結局金属巾木は全て巾木勝ちの納まりを紹介することになってしまいました。
床仕上材の厚みがそれ程ない場合には、巾木を後で付ける考え方も選択肢としては充分にアリという事になると思います。
金属巾木と似たような厚み・形状のビニル巾木は基本的に後付けですから、それと同じ考え方をする事も出来るのですが…
長尺塩ビシートやビニル床タイルなどの薄い床仕上材の場合、床コンクリートの表面に直接張っていく納まりになるのが通常です。
床コンクリートの精度は完全に水平とは言いがたい状態なので、あまり目立ちはしませんが床仕上材は床の精度に合わせて少しずつ凸凹しているものなんです。
そこに後付けで下端が直線になっている金属巾木を付けていくと、巾木が定規の代わりになって、床の凸凹が結構目立ってしまう状態になってしまいます。
巾木勝ち納まりにすると、巾木にぶつける長尺塩ビシートなどを綺麗にカットしないと、隙間が空いてしまうという問題があります。
どちらも結局隙間があく懸念がある訳ですけど、床の凸凹を水平にするには膨大な手間がかかるので、それならば長尺塩ビシートを綺麗にカットする方が圧倒的に楽なんです。
そうした理由から、施工者としては金属巾木を勝たせる納まりで進めた方が良い、という結論が出てくる事になります。