前回は金属巾木の基本的な納まりについて簡単に説明をしてきました。
色々な床仕上材にマッチする金属巾木ですから、登場する頻度はそこそこ高めになるはずで、まずは納まりの基本をここで覚えてしまいましょう。
とは言っても基本は接着剤での固定なので、納まりとしてはそれほど難しい訳ではありませんが…
巾木と床のどちらを勝たせるか、という納まりの検討についても話題にしましたが、ちょっと細かすぎて「そこまで検討するの?」と感じてしまうかも知れません。
しかしこれは最終的な見映えを左右する非常に重要な要素でもあるので、細かい部分でもしつこく検討をしていく事を私はお勧めします。
このあたりは施工者が色々細かく検討をしていく部分なので、設計者としては綺麗に見えればどちらが勝っても良いというくらいの認識で良いかも知れません。
設計者はこうした細かい部分を突き詰めていくよりも、もう少し全体的な部分を検討をしていく事が求められますから。
こうした細かい納まりが上手くいかない場合でも、最終的には手直しをすれば見た目の悪さは解消するものですが、そこにかかる手間が膨大になるとやはり厳しいものがあります。
検討が上手くいかなかった際の「見えない手間」をなるべくかけない為にも、施工者としては細かい部分の納まりでもきっちりと検討しておいた方が良いんです。
もちろん検討する内容には優先順位があって、前回紹介したような「金属巾木と床の関係」というのは、もう本当に優先順位としては最後の最後という感じです。
そこを間違えてしまうと施工者としては悲劇という感じになってしまうので、まずは検討の優先順位を強く意識していくことが重要になってきます。
さて、巾木の種類についての説明も今回で終わりという事で、今回はビニル巾木の特徴と納まりについて説明していくことにします。
ビニル巾木というのは塩ビ系の巾木で、材料によって硬質巾木と軟質巾木に種類が分かれますが、一般的に使われるのは軟質巾木になります。
「ソフト巾木」と呼ばれることもあって、これは塩ビ系の軟質巾木が柔らかいから、このような呼び方になったのだと思います。
巾木の種類はいろいろありますが、ビニル巾木はその中で最も一般的で、最も多くの部屋で採用される巾木という事になります。
イメージはこんな感じで、これは実際に見たことがある方がほとんどだとは思いますが、それを覚えている方も少ないのではないか、というくらいに普通の見た目になっています。
ビニル巾木の特徴としては、まずはコストが安価である事と色の選択肢が多いという事、施工が手軽だという事がメリットとして挙げられます。
コスト的なメリットがあるという事はその反面、意匠的にはそれほどこだわった製品ではない、という事を意味しています。
つまりて、エントランスなど意匠的にこだわりたい部分には不向きな巾木だと言えます。
納まりとしては非常にシンプルで、床仕上材を施工した後で接着していくという納まりが基本なので、下図のように本当に簡単な納まりになります。
金属巾木の場合には先に取付けという話をしましたが、ビニル巾木については基本的に後付けで床勝ちという納まりになるのが一般的です。
もちろん巾木勝ち納まりにする事も出来るので、やはりこれは施工順序などを考えて決める必要がありますが…
床勝ち納まりとした場合には、ビニル巾木の特に硬質なタイプで金属巾木と同様の問題が発生してきて、巾木の下端で床の凸凹による隙間が出てしまう場合があります。
軟質系の巾木であればある程度は凸凹に沿っていく事も何とか可能ですが、それでも隙間が出てしまう場合があります。
施工精度があまり良くない場合はもう仕方がない事なのですが、巾木納まりにはこうしたちょっと困った状況があるので、出来るだけ精度良く施工を進めたいものです。