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金属巾木の特徴と納まりと

前回は巾木としてタイルを採用した場合の納まりについて説明をしてきましたが、巾木というかそのまま壁の納まりという場合が多かったですね…
ポイントは水勾配がある場所での採用が多いという事で、それが床との関係をどうするかの決め手となっていく、という感じでした。

ただ、巾木としてのタイルはそれほど多くの場所に採用される訳ではない、という現実もあって、ちょっと納まりが複雑な割にはあまり出番は多くない傾向にあります。
とは言っても、建築的な納まりの検討が必要な優先順にという点で考えると、水廻りの部屋はかなり優先順位が高いというか重点的に検討が必要になるはず。

あまり頻繁には出てこない納まりですが、検討の重要度としては高めなので、前回までで説明した内容はぜひ覚えてしまいたい項目だと思います。
今回から紹介する巾木は、タイルに比べるともう少し多くの場所で採用されることになる、金属巾木について色々説明していくことにします。

金属巾木というのは、もう読んだそのままの意味になってしまいますが、金属で出来た巾木の事を指しています。
金属と言っても材質は様々ですが、一般的には表面仕上げによって金属感が出やすいステンレスの巾木である場合が多いです。

スチールの巾木も出来ない訳ではありませんが、最終的な仕上は恐らく塗装仕上という事になってきて、見た目としてビニル巾木と変わらないという事になってしまいます。
それではわざわざコストをかけて金属巾木にするメリットは少ない、というかほとんど見た目が変わらないならメリットはないかも知れません。

そうした考え方があるので、例えばヘアライン仕上などで見せることが出来るステンレスが巾木の素材としては多くなる、という考え方です。
こうした金属巾木を採用するメリットとしては、やはり金属ならではの見た目のシャープさと、清潔感が挙げられるのではないかと思います。

SUS巾木のイメージ

材料としての硬質さというのも金属の特徴としてはあるのですが、巾木として採用する場合で考えると、硬質であることのメリットはそれ程多くはありません。
逆に硬質であるが故に、壁に対して隙間が出てしまったり、あるいは床の不陸を吸収できなかったりというデメリットもあるんです。

そのあたりの話は、意匠設計者も施工者も、巾木材料としての特徴という事で詳しく知っておく必要があると思います。

金属巾木を採用する場合には、床仕上材がどのようなものであれば適しているのか、というあたりを考えてみると結構色々あることが分かります。
床仕上材が石でも金属巾木はアリだし、床仕上材がタイルの場合でもそれほどおかしくはなく、長尺シート系でも大丈夫、という感じで幅が広い感じ。

逆に言うとどの床仕上材に対しても「これしかない」という感じではない、という話になるのかも知れませんが、色々な床仕上材や壁仕上材にマッチする巾木だと思います。
フローリング床でも仕上材の雰囲気としては合ってくるのですが、薄い材料なのでフローリングの緩衝材を隠すことが出来ない、というあたりがちょっと気になりますね。

ステンレス巾木の厚みは特にこだわりがなければ1.5mmで問題なく、壁に対して接着剤で固定していく事になります。
まずは床仕上材が石の場合の納まりを考えてみると、この場合は巾木を少し床に対して勝たせて納めていき、巾木取合いはシールという場合が多くなってくると思います。

後から施工する事を考えて床勝ち納まりでも問題はないので、施工手順と最終的な見た目をイメージしながら判断していく事になります。

床石+SUS巾木の納まり例

上図を見ると入巾木にしたくなってくるのですが、入巾木にすると石膏ボードの切り口が綺麗に納まるかが微妙な感じになるので、私はあまりお勧め出来ません。

床タイル+SUS巾木の納まり例

床仕上材がタイルの場合も、床仕上材が石の時と同じく巾木勝ちでシール納まりになり、ほぼ同じ納まりになってきます。
入巾木の場合の納まりも同じですね。

SUS巾木を入巾木とした納まり例

金属巾木の納まりについての話はもう少し続きがあるので、次回は床仕上材がフローリングの場合の納まりから話を続けていくことにします。

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