前回までの話では、巾木を出巾木とした場合の納まりと、その場合にどのような問題が考えられるか、という話を取り上げました。
出巾木の出寸法が大きすぎるとあまり良い事ないという話で、基本的には建具のチリ内に納めた方が綺麗にまとまります。
ただ、例えば結婚式の会場になるバンケットなどで装飾を大きく見せたい場合など、ちょっと条件としては限られますが、巾木の出寸法を大きくしたい場合もあります。
そうした場合には建具枠よりも出していき、枠の取り合い部分をどう見せるかを検討していく事になるかと思います。
納まりの検討はやはり部屋によって方針が変わってくるものですから、それぞれの場所にあった納め方で検討を進めるのが正解という事ですね。
今回は引き続き巾木についての話を進めていき、入巾木の納まりとした場合の問題点がどこにあるのか、という部分について考えてみたいと思います。
入巾木の基本納まりは壁面よりも巾木面が引っ込んでいる状態になるので、まずは壁を施工する際に巾木納まりを意識しておく必要があります。
そこが後から施工出来る出巾木と大きく違う点で、納まりとしてはやはり入巾木の方が若干複雑な関係になってくると思います。
入巾木が壁面に対してどの程度引っ込んでいれば良いのかですが、あまりにも引っ込んでいるのは変なので、大抵は5mm~10mm程度という事になります。
なので、壁がLGS+石膏ボードの場合には、石膏ボード1枚分だけ壁を巾木上で止めておき、そこに巾木を貼っていく納まりになるのが一般的でしょう。
壁下地が鉄筋コンクリートである場合はどのような納まりになるかというと、これは鉄筋コンクリートに対してどこまで仕上代があるのかによります。
結局石膏ボードを貼るのであれば、LGS下地の場合と同じ考え方になりますが、GL工法の場合は石膏ボードを1枚しか貼らない場合もあるので、その場合は入巾木は難しくなります。
鉄筋コンクリート面にモルタルを塗って塗装仕上、という納まりで入巾木にしたい場合には、コンクリート工事の時に欠き込みを入れておく必要があります。
しかしこれは施工が大変な割に最終的な見た目はそれほど美しくないです。
こうした納まりにするのなら、鉄筋コンクリート壁面の外側にLGS+石膏ボードを施工した方が良いのではないかと思います。
もちろんスペースの問題があるので、そう簡単に壁面を出していくことは出来ませんが…
こうした入巾木の問題点としては、ちょうど今書いていったように、納まりの検討を事前にしておくという点がまずはあります。
ただ、納まりを検討する必要がある、というのは問題点とは言えないので、そうした検討をする際に出てくる問題点をここでは挙げてみたいと思います。
・巾木の天端部分の納まりが綺麗にならない
・入巾木部分に隙間が出来る可能性がある
・壁の性能を確保することが出来なくなる
上記のような点が、入巾木納まりにした際に出てくる可能性がある問題になっています。
もちろんそれぞれの項目は納まりを調整していく中で解決するのですが、調整をしないまま施工を進めると上記のような話が出てくる事になります。
建物の意匠的な部分、そして求められる性能的な部分、いずれの方向でも問題になる可能性はあるので、事前にしっかりとした検討をしていく事が必要です。
ちょっと長くなってきたので、次回からはそれぞれの項目についてもう少し詳しく説明をして、具体的な解決方法も書いていこうと思います。