前回は壁仕上材としてタイルを選定した場合という事で、外壁タイルと壁下地コンクリートとの関係、そして巾木の考え方について説明をしてみました。
外壁タイルの場合は特別に「巾木」という考え方をする事は少なくて、壁の仕上をそのまま床まで持っていく納まりになる場合が多い、という話でした。
その場合の床との取合いは基本的に「壁勝ち納まり」という事になる、というあたりまでを前回は説明しましたので、今回はその続きからスタートです。
まずは一般的な外壁と床の取合い断面図について考えてみると、壁勝ち納まりという事ですから、下図のような関係になってきます。
内部の床仕上レベルは恐らく1FL±0でほぼ統一されると思いますが、外部は平らにしておくと水が溜まってしまうので、意図的にレベルを変えて水勾配を付けていく必要があります。
そうした理由から、床のレベルは1FLよりも下がっていく事になって、それに合わせるように壁仕上材も少し伸ばしていく納まりになるのが一般的です。
ある程度壁仕上材を床レベルよりも下まで伸ばしておいて、そこに勾配がついた床仕上材をぶつけた方が施工も楽だし納まりも良いという考え方ですね。
これとは逆の納まりを考えてみると、場所によって異なる床仕上レベルをまずは想定して、そこから10mm程度上げた位置で壁のタイルを綺麗に切っておく納まりになりますが…
上図では何となくおかしくない感じにはなっていますが、タイルを斜めに切っていく部分が綺麗にはならず、しかも床との関係に逃げがないという納まりになります。
壁タイルをシビアな管理で斜めに切っていくなど面倒な作業をする割には、最終的な見た目があまり良くないという残念な状態になりがち。
なのでこれはあまりお勧め出来ません。
外壁タイルの巾木部分納まりについてはこのあたりで終わりにして、今回は引き続き壁タイルと床との取合いという事で、内部の水回りについて考えてみることにしましょう。
外壁のタイル取合いについて考えた際には、止水ラインが鉄筋コンクリート壁になっているため、防水などの納まりは特に考慮しませんでした。
しかし浴室など内部水廻りの部屋では、大量に使用する水を下階に漏らさないように、アスファルト防水を施工する場合がほとんどです。
そうなると、床仕上材と壁タイルとの取合い納まりでは、アスファルト防水を意識しておくことが必要になってきます。
具体的な話をすると、アスファルト防水をある程度のレベルまで立ち上げておき、防水層をモルタルで保護した上にタイルを貼っていくという考え方になります。
アスファルト防水は10mm程度の厚みがあるものです。
アスファルト防水を施工した後でその面をモルタルで保護する訳ですが、モルタル面がコンクリートと同面になっていないと壁仕上材としてのタイルが施工出来ません。
そうした寸法関係を考えていくと、鉄筋コンクリートには25mm程度の欠き込みが必要だということが分かってきます。
鉄筋コンクリート面のモルタル補修をどの程度見込んでおくかですが、5mm程度見込んでおけば特に問題はないと思います。
また、タイルを貼っていく下地として、保護モルタルと鉄筋コンクリート面という二種類の下地がありますが、異なる下地をまたいでのタイル張りはお勧め出来ません。
そうした下地の取合いなどを考えていくと、タイル割付によってコンクリートの欠き込みレベルが決まってくる、という納まりが見えてきます。
巾木部分の納まりは外壁と同じ。
水廻りの部屋になるので床には水勾配を付けていく必要があって、そうした納まりを考えると壁勝ちにしておく方が納まりは良いし見た目も良いです。
という感じで、あまり「巾木」という感じではありませんでしたが、壁タイルと床との取合い納まりについての説明はこれで終わりにしておきます。
次回はもう少し採用される確率が高い金属巾木の特徴や納まりなどを説明していくことにします。