前回は天井仕上材としてアルミパネルの特徴と納まりについて説明をしました。
最初に取り上げておいてちょっと言いにくいのですが、建物全体の中で考えると天井仕上材をアルミパネルにする部屋というのはあまり多くはないと思います。
逆にそれだけグレード感のある仕上材という事も言えるでしょう。
主に建物のメインとなる限られた場所で、壁仕上材と合わせて検討をしていき、アルミパネルが採用されることになる、という感じではないかと思います。
あまり頻繁に出番が回ってこない仕上材とも言えますが、まあこれはグレード感を考えれば当たり前の事なのかも知れません。
一番最初に説明した仕上材が、実際にはそれ程頻繁に使っていないものだと言うのは、ちょっと説明する順番としては上手くなかったような気もしますが…
今回紹介する天井仕上材は、前回紹介したアルミパネルよりも非常に使用頻度が高い天井仕上材いうことで、岩綿吸音板を取り上げてみたいと思います。
岩綿吸音板(がんめんきゅうおんばん)はロックウール化粧吸音板とも呼ばれている商品で、天井仕上材としては非常に有名な製品になります。
ロックウールと呼ばれる製品を加工して板状にしたもので、断熱・不燃・吸音性能を持っている非常に優れた天井仕上材だと言えるでしょう。
見た目も非常に良いので、非常にバランスの良い天井仕上材として、色々な部分に採用されることになると思います。
そもそもロックウールとは何か、という話をここで考えてみると、鉄を製造する際に発生する「スラグ」を溶かして細い繊維状にしたものをロックウールと呼んでいます。
スラグは鉄を製造する際に必ず発生するもので、扱いとしては産業廃棄物という事になるので、何か有効利用出来ないものかと考えられていました。
そうした原材料を性能の高い天井仕上材に加工しているという事で、リサイクルという観点から見ても岩綿吸音板は非常に優れた建材だと言えます。
岩綿吸音板のイメージはこんな感じです。
岩綿吸音板の種類は、表面の見え方や柄などの分類が幾つかありますが、基本的には表面に模様が付いた白系の材料になっています。
ちょっと意匠的に色々やりたいと思った場合には、表面が凸凹している商品などもあるので、選択肢としては色々あって意匠設計者にはちょっと嬉しい天井仕上材でもあります。
部屋によっては天井の表現を変えたくなる場合は結構あるので、そうした場合には上記のような凸凹がある岩綿吸音板を採用していく事になります。
こうした天井仕上材は、個人的な感想になってしまいますが、マンションのエントランスなどで採用される場合が多いような気がします。
平らな岩綿吸音板と比べてしまうと確かにコストとしては高くなる方向になってしまいますが、表面に凸凹を追加するというのは、色を変えるよりも全然効果が高いものです。
そういった意味では、ちょっと特殊な岩綿吸音板を採用するという考え方は、意匠的に力を入れたい部屋では全然アリだと思います。
基本的なサイズは600mm×300mmで厚みは色々ありますが、最も一般的に利用されている岩綿吸音板の厚みは12mmが基本になっています。
そして、岩綿吸音板は基本的に下地に対して接着剤で止めていく納まりになるので、岩綿吸音板を貼る為に石膏ボードを1枚張っておく必要があります。
下地として張っておく石膏ボードの厚みは特に指定はありませんが、もっとも一般的な12.5mm厚を張っておく場合が多いです。