建築工事で天井に取付けが必要な器具というテーマで話をしてきて、前回はシャッターの納まりについて簡単にではありますが説明をしてみました。
建築の納まり検討で問題になる部分は色々あるのですが、シャッター廻りが納まらないという話はかなり多いと思います。
上階の梁に干渉するから下げないとだめとか、配管やダクトに干渉して納まらないとか、そういった話題に事欠かないのがシャッター廻り。
いかに天井裏の検討が重要な要素になるのかを示す話でもありますが、この検討を後回しにすると色々大変なので早めの検討がポイントです。
引き続き建築工事として天井に取り付けられる器具についての話という事で、今回は自動ドアについての話をしていこうと思います。
建物の入り口などで採用されることが多い自動ドアは、人が近づいた事をセンサーによって検知して、電動でドアを動かすという機能を持っています。
これはもう最近では当たり前の状態になってしまいましたが、よくよく考えてみると、こうした機構は非常に画期的な事だと言えます。
人が近づいてきた事を検知して自動でドアを開けるというのは、書くだけであれば非常にシンプルな話になるのですが、実際にそれを実現しようと考えていくと結構大変だったりします。
自動でドアを開ける為にはやはり電気の力を利用する必要があり、その為の機構をどこかに組み込んでおく必要があります。
通常の自動ドアであれば、ドアの少し上にモーター用のスペースを設けて、そこにドアを開く機構を仕込んでいくという関係性になるのが一般的になっています。
下図のような自動ドアの姿はよく見かけると思いますが、この納まりであれば枠が天井に取り合うだけになるので、絡みとしてはそれほど多くはありません。
しかし上図のような自動ドアの姿は見た目として少し寂しいので、もう少し綺麗に見せる事は出来ないかという検討をしていく中で、モーター部分を意匠的には隠したいと思ってしまうんです。
まあ確かにガラスの引戸がある中でその少し上にモーターの為のスペースが必要というのは、意匠的には何とかしたいと思ってしまうのも無理はありません。
モーター部分を目立たなくする為には、モーターを天井裏に持っていく必要があって、そうした処理をすると建具の姿はこのようなイメージになります。
確かにこちらの方が見た目は良い感じですよね。
ただ、こうした見た目にする為には色々な対応が必要になります。
まずは人が近づいてきた事を検知する為のセンサーを天井面に取り付ける必要があり、さらには天井裏のモーターをメンテナンスする為に天井点検口も必要になります。
自動ドアは建物のメインとなる入り口で採用されることが多いので、そうした部分で採用する自動ドアの納まりとして、天井点検口をどのように見せるかが意匠設計者の課題になってくるでしょう。
自動ドアを天井内に入れなければ天井点検口は必要なくなるので、モーター部分をどこに配置するかが非常に重要なポイントに。
もちろん場所によっては天井内にモーターを配置する方が、建具のラインがシンプルになって意匠的にはすっきりするとは思いますが…
必ずしも天井裏に隠す納まりが必要という訳ではないです。
どうしてもガラスだけを見せたいという場合にそうした選択肢があるという話なので、全部の場所でこのような処理をするのはお勧め出来ません。
そもそも高さがありすぎると自動ドアの機構としてNGという事にもなってしまうので、単純に見た目が悪いのでモーターを隠すという話では済まない場合もあります。
どのように見せたいのかという考え方を明確にしておかないと、手間がかかるだけで見た目は今ひとつという事になってしまうので注意が必要です。
ただ、建物のメインとなる入口であれば、このような処理をする事は効果的ではありますので、天井点検口の設置を含めて調整をする価値はあると思います。