天井に取り付けられる器具は設備だけではなく、建築工事としても天井に取り付ける器具があるので、そのあたりも表現して設備との調整が必要になります。
前回はそのような話を取り上げて、具体的にはどのような器具が建築工事として取り付けられることになるのか、という話をしました。
・シャッター
・シャッター用点検口
・自動ドアセンサー
・自動ドア用点検口
・防煙垂壁(固定・可動)
・可動防煙垂壁用点検口
あまり種類としては多くはありませんが、どの器具も建物に求められる性能を満たす為に必要なものばかりなので、欠かすことは出来ません。
これらの器具の納まりをきちんと押さえておき、天井検討をする際に図面に盛り込んで設備との関係を調整していく、という検討の流れになってきmす。
今回からは上記の器具についてそれぞれを簡単に紹介していき、納まりのポイントなども簡単に説明していくことにします。
天井裏に入れておく必要がある器具に関しては、上階梁との関係だけではなく、天井裏の設備配管などとの関係を確認しておかないと納まらない場合が多いです。
天井裏は基本的に設備に世界になるので、それを無視して建築だけで器具を入れていくことは、可能ではありますがあまりお勧めは出来ません。
設備関連との納まり確認をする為には、どのような関係で天井裏に器具が入るのかなどを把握しておく必要があるので、今回はそのあたりの説明をしていこうと思います。
まずはシャッターからですね。
シャッターというのは、鋼製かつ横長の部材を連結した扉を天井裏スペースに巻き取っておき、火災時などに下ろしてくる目的で設置する建具になります。
うーん…これはちょっと説明が難しいですね。
何度も書き直しましたが結局分かりにくいままなので、ここは残念ながら写真の力を借りて説明をする事にしましょう。
これがシャッターです。
建物には、火災時に建物全体に炎が回ってしまわないようにという目的で、一定の範囲ごとに「防火区画」と呼ばれる区画を設ける事が建築基準法で定められています。
また、一定の範囲に必要な防火区画とは別の規定によって、吹抜部分には同じように防火区画を設けることがやはり建築基準法によって定められています。
吹抜部分で火災が発生した際に、炎が全てのフロアにまわってしまわないように、という目的で吹抜部分には防火区画が必要になるのでしょう。
ただし、こうした理屈はよく分かるのですが、吹抜部分に防火区画の壁を設置してしまったら、それはもう吹抜とは呼べない状態になってしまいます。
それでは吹抜を設けた意匠的な狙いが台無しになってしまうので、通常時は壁が存在していない状態で、非常時だけ防火区画を形成することが出来るシャッターが採用される事になります。
こうした理由から、商業施設のエスカレータ廻りとか、吹き抜け廻りなどではほぼ間違いなくシャッターが配置されることになるはずです。
また、防火区画以外の部分でも、例えば店舗の入り口などで、大きな開口が必要でなおかつ扉を見せたくないような場所でもシャッターは採用されます。
これは防火区画の形成という目的ではなく、あくまでも大きな開口に対してスッキリと扉を収納したいという目的で利用されます。
目的がどうであれ、シャッターの基本断面は上図のような納まりになっているので、天井面には「まぐさ」と呼ばれるシャッターが下りる部分が見えてくる納まりになります。
また、基本的にシャッターの可動部分は天井裏に納まることになるので、何かがあった際にメンテナンスをする必要があり、その為に天井点検口が必要になってきます。
シャッターの周辺には、天井面にまぐさ部分と天井点検口が必要になっていて、それが他の設備器具と干渉しないように調整をしていく事になります。
シャッターの位置を動かすことは難しい場合も多いので、シャッターを逃げた位置に設備器具を配置していく事が求められます。
天井取合い納まりの注意点としては、シャッターの巾と高さによって天井裏に必要なスペースは変わってくるという事があります。
必要な寸法はシャッターを製作している企業に確認していくしかありませんが、場合によっては天井を下げる必要が出てくる事もあるので、早めの確認が重要になってきます。