前回は天井下地として吊りボルトがどのような関係になっているのかという話と、具体的な吊りボルトのサイズについて紹介をしました。
天井納まりを検討していく際には、主に断面図を作図していく事が多いのですが、検討断面図の中では吊りボルトはあまり表現しない場合がほとんど。
納まり検討にそれほど大きな影響を与えない吊りボルトについて詳しくなっても、それほどメリットはないという気がしてくる事もありますが…
色々な部分について納まり検討を擦る際に、実際に検討を進める人がそれぞれの部分で使われる材料について知らない、というのも寂しい話です。
知っている事と知らない事ではどちらが良いかと言うと、当然知っておいた方が良いという話になりますので、ある程度までは基本知識として持っておいた方が良いと思います。
吊りボルトは天井レベルからどの程度上がった位置で止めておくのかなどの、さらに細かい話については、そこまで必要かどうかは微妙なところですが…
少なくとも、どのような材料のものがどの程度のピッチで入ってきて、それは何のために存在するのか、程度の基本知識はあっても良いと思います。
設計者であっても施工者であっても、実際に軽量鉄骨の天井下地を自分で組むことはありませんので、そこまで細かく知っていなくても全然問題はありませんが…
知っていた方がより良いのは間違いありません。
と言うことで今回は引き続き天井下地である吊りボルトについて考えることにして、吊りボルトが上階床コンクリートとどのような関係になっているのか、というあたりを取り上げてみたいと思います。
天井下地は上階の床コンクリートから吊りボルトを下ろすことによって固定していく訳ですが、その吊りボルトはどのように固定しているのか。
上図のように「天井インサート」と呼ばれる金物を上階の床コンクリート打設時に固定しておき、そこから吊りボルトを固定する、というようなイメージになります。
天井インサートとは何かと言うと…
上記のような部材を天井インサートと呼び、これを床コンクリートの中に配置しておくことによって、床コンクリートから後で吊りボルトを下ろしていくことが出来るようになります。
何色も色があるのは、建築の天井用とか空調設備用とか電気設備用などで区分する為。
…と、ちょっと言葉での説明だとなかなか伝わりにくいので、ここでは天井インサートと吊りボルトの関係を詳細で表現してみましょう。
このような関係です。
天井インサートは床コンクリートを打設する前にあらかじめ設置しておく必要があります。
そうすることによって、後から吊りボルトの下地を取り付ける必要がなくなり、なおかつ引き抜き強度的にも問題のない納まりになる、という感じです。
もちろん後から上階床コンクリートに対してアンカーを打って吊りボルトを固定していくことも可能ではありますが、効率としては天井インサートを入れておく方が全然良いです。
ただ、床コンクリートを打設するタイミングは工事の段階としてはかなり序盤で、もちろん天井仕上げどころか天井下地も全くない段階になります。
そうした段階で天井仕上げの納まりを意識して天井インサートを入れておく、というのは実際にはなかなか大変な作業ではあります。
とは言っても、後から吊りボルトを下ろすために固定方法を色々検討するよりは、天井インサートを最初に入れておく方が、総合的には楽だという考え方です。
タイミングとしてはかなり早めの検討が必要になるので、天井インサートの検討をする際には「もう少し後ではダメなの?」と思ったりしがちですが…
後々のことを考えて事前に検討して手を打っておく、というのは建築の納まり検討の基本になりますから、この場合も同じような考え方で進めるしかありません。
ちょっと吊りボルトの納まりについての話が長くなっていますが、あと少しだけ。
次回は吊りボルトを配置する計画について、基本的な考え方を紹介していくことにします。