前回は壁の下地としてALCと呼ばれる建材を取り上げて、その名前の由来や製造過程による特徴について紹介をしてきました。
使い勝手がよいので様々な構造の建物で採用されるALCですが、RC造であれば鉄筋コンクリートの壁という選択肢もある関係で、特にS造に向いている壁と言えるでしょう。
今回は引き続きALCについての話を進めることにして、ALCのサイズについての話と納まりの基本パターンについて考えてみることにします。
まずはALCのサイズについてですね。
現場で型枠を組み立ててコンクリートを打設する壁と違い、工場で製作して現場に搬入する製品である以上、ALCには規格サイズというものが存在します。
ある程度の規格がないと製品を大量生産することが出来ないという理由と、あまりにも大きすぎると運搬や取付が出来なくなるという理由から、標準となるサイズが決められているんです。
ただ、あまりにも規格サイズしか選定出来ないようでは商品として成り立たないですから、出来るだけ様々な場所に採用出来るようにその選択肢は多彩ではあります。
それらのサイズを全部紹介することも出来ますが、納まりを知る上ではあまり効果的ではないので、ここでは本当に基本となるサイズだけを紹介します。
厚さ 100mm 巾 600mm~300mm 最大長さ 4100mm
長さに関しては取り付ける場所で恐らくそれぞれ違ってくるはずなので、工場で寸法を指定して製作することになりますが、最大で4100という事になります。
それ以上の長さが必要な場所であれば、厚さを100mmから125mmにして最大長さをもう少し確保する、という事も考える必要があります。
巾に関しては基本600mmのALCを連続させていくことになり、当然壁の全長は600mmで割り切れる訳ではないので、最後の1枚は少し小さくカットして調整をする事に。
ALCには最小巾が設定されており、最後の1枚が300mmを切るようであれば、巾が小さいALCは強度的に成立しないので2枚で調整するなどの対応をする事になります。
イメージとしては下図のような感じになります。
これがALCのサイズについての基本的な考え方ですが、上記の説明はそもそもALCを縦に張っていくことを前提としています。
しかし実際には、ALCは縦に張っていく場合と横に張っていく場合があって、状況に応じて納まりがよい工法を選定していくことが出来るんです。
ただ、内壁でALCを横に張っていくのは大変なだけであまりメリットがないので、内壁は特に大きな問題がない限りは縦張りになります。
なので橫張は基本的に外壁だけに適用される納まりという事になります。
横張のイメージはこのような感じで違っています。
こうしてALCの縦張りと横張りとの違いを見ると、外壁を建物としてどう見せるのか、という意匠的な部分に大きく絡んでくることが分かります。
意匠としてどう見せていくのかという点と、ALCの最大サイズも規格で決まっているという点と、条件が色々とあるので結構複雑な状況になってきます。
最終的には、外部としてどう見せていきたいのかによって縦張りと横張りの考え方を決めて、その方針で納まりが問題ないかを検討していく、という感じになるかと思います。
外部はこうした検討に加えてアルミ建具の納まりなどもあるので、あらゆる部分を平行して検討していく必要があって、非常にやりがいのある部分だと言えます。
また、縦張りの納まりを選定した場合でも、あるいは横張りの納まりを選定した場合でも、ALCを取り付ける為の下地金物を用意しておく必要があります。
その金物を固定する為に、鉄骨の構造体には何らかのピースを用意しておく必要もあって、結局鉄骨が絡むので出来るだけ事前に検討を進めていくことが求められます。
…と色々と書きましたが、外壁としてALCを採用する場合には鉄骨も関係するので、早急に方針と納まりを決定して鉄骨対応をする必要があるので大変かも知れません、という話でした。
あまりここで脅かしても仕方がないのですが、はやりどのような場合でも外壁の納まりを検討するのは一苦労になる場合が多い気がします。
次回はもう少しALC関連の話を続けて、ALCの基本的な納まりのパターンと仕上の考え方について説明していこうと思います。