浴室や厨房など大量に水を使用する部屋では、下階に水が漏れたりしないように、アスファルト防水を計画しておく必要があります。
アスファルト防水の上に防水層を保護する押さえコンクリートを打設していき、その上に床仕上材を施工していく、という関係が防水の一般的な納まりになります。
床に流れた水をきちんと排水していく為に、床に水勾配を設けて排水溝まで水を流していき、排水溝の中にも排水目皿に向かって水勾配を計画していきます。
部屋の規模と排水目皿の数にもよりますが、排水溝内の水勾配まで確保する為には150mm~200mm程度床コンクリートを下げることになると思います。
こうした話を前回までの説明で取り上げてきました。
水勾配の検討は結構面倒ではありますが、これをやっておかないと後で本当に困ることになるので、出来るだけ早めにやっておいた方が良いです。
図面での検討について書くときに、必ず「早めにやった方が良い」みたいな話になりますが、図面での検討では常に同じことが言えるのかも知れません。
水というのは正直なもので、高いところから低いところまで確実に流れていき、少しでも隙間があればそこから漏れていくものです。
これは当たり前の話ではありますが、建物で考えるとこの当たり前の話に色々苦労をすることになるので、水に関わる部分はきちんと検討をしておくことをお勧めします。
浴室や厨房でアスファルト防水を計画する際に、床コンクリートのレベルを下げておく事の他に、床仕上レベルの設定も検討しておくことが求められます。
先ほども説明しましたが、常に床に水がたまっている状態では部屋として困るので、まずは床に流れた水を排水溝まで流す検討をしておく事になります。
例えば上記のような室内レイアウトの場合を考えてみましょう。
入口のドアがあってそこから室内に入ってくることになるので、基本的に出入口付近は隣の部屋と同じ床レベルに設定しておくことになります。
通常の部屋であれば床レベルはFL±0なので、出入口付近はそれに合わせて±0に設定され、出入口に水を集める訳にはいかないので水上も±0という事に。
そうなると排水溝のレベルはFL±0から水勾配の分だけ下がっていく、という事で、図面にレベルを記入すると下図のような感じになります。
こうしてレベルを記入してみると、床レベルはどうしても排水溝までの勾配をとる関係で、どこかで床を折っていく必要があることが分かります。
タイルの項目でも説明しましたが、床タイルや石の場合は堅くて平らな床仕上材になるので、床を折っていくのが苦手なので、そのあたりの検討で困ることになると思います。
床仕上材の事を考えるともう少しシンプルな勾配計画をしたくなるのですが、恐らく排水溝の配置や出入口との関係を考えるとそう都合良くはいかないはず。
そうなるとどうしても床を何となく折っていくことになるのですが、タイルを斜めに切るのも困るし、という状況になる場合は結構あります。
最終的には「何となく勾配を取って欲しい」みたいな話になって、図面で真面目に表現するのが難しい状況になる事も多いです。
このあたりは実際に床を施工する人と話をしてみるのが良いと思います。
納まり検討で頭を悩ませていたとしても、実際に施工する人からすると「何となくで大丈夫」な場合も結構あるものです。
もちろん適当すぎる検討図では困りますが「こうしたい」という要望が明確にあるのであれば、施工をする人との話も有効な手段だと言えます。