前回はタイルカーペットの基本的なサイズと、その貼り方パターンには意匠的に色々な選択肢があります、という話を紹介しました。
柄がたくさんあって、その組み合わせの選択肢もたくさんある、というのは意匠設計者にとって非常に嬉しいことではないかと思います。
床のデザインというのは結構部屋の雰囲気を変えるものですから…
と言うことで、タイルカーペットを貼っていくパターンにはどのようなものがあるのか、というあたりについてもう少しだけ紹介してみたいと思います。
前回は柄があるタイルカーペットのパターンを紹介しましたが、柄がある商品だけではなく、特に柄がない単一で無地のタイルカーペットも一般的な商品として扱っています。
こういった床仕上材の方が最終的には使い勝手が良くなる場合が多く、様々な柄の商品があるにも関わらず、こうした一般的な無地が選定される場合が結構あります。
ただ、無地のタイルカーペットであっても敷き方によってはパターンに見える事も多いので、以下のような感じに見える部屋を見たことがある方は結構多いのではないかと思います。
上記写真では無地のタイルカーペットなのに市松模様に見えますが、別に違う商品を使っている訳ではなく全て同じものを敷いてこのように見せているんです。
原理は非常にシンプルです。
タイルカーペットにはカーペットを構成するパイルに向きがあるので、その向きを意識して縦横を交互に貼っていく事で見た目が変わるんです。
この貼り方をそのまんまではありますが「市松貼り」と呼びます。
市松貼りはタイルカーペットの継ぎ目が目立ちにくく、最も一般的に採用される貼り方、という感じで教わってきましたが、柄によっては継ぎ目がかなり目立つ気がします。
意匠設計者は「最も一般的な…」というフレーズを嫌う傾向にありますから、市松貼りを嫌う設計者は私の知る限りは結構たくさんいます。
ではどんな貼り方を好むかというと、交互に貼るのが市松貼りなので、その対極にある「流し貼り」と呼ばれる貼り方が多くなります。
流し貼りというのはタイルカーペットを全て同じ向きに貼っていく方法で、そうすることによって床の市松模様が消えることになります。
ただしこの流し貼りは、タイルカーペットの製品によっては「流し貼りを推奨しません」と書かれているものもあるので、事前に商品と推奨される貼り方を調べておく必要があるでしょう。
表現が「推奨しません」だからちょっと控えめで、実際には推奨されないけど流し貼りにした、ということは結構私の経験としてはあります。
流し貼りにしてみた結果として、実際にはそれほどおかしくはなかったので、それほど厳密ではないのかも知れませんね。
これはあくまでも私の個人的な感想ではありますが、流し貼りの方がタイルカーペットの継ぎ目が目立ちにくいような気がします。
それは私が見てきた製品が偶然流し貼りに適している材料だったのかも知れないので、やはりパターンと推奨される貼り方を守って品番の選定をしていく事をお勧めします。
タイルカーペットには他にも色々な貼り方があって、半分ずらしてみたりランダムに貼ってみたりアクセントを入れたりと選択肢は本当に多いです。
そうしたたくさんある選択肢の中から、その建物に適した床仕上材と貼り方を選定していく、というのが意匠設計者の腕の見せどころではないかと思います。
納まりの定番パターンとかお気に入りの納め方などを持っている方が楽ではありますが、それでは毎回同じような納まりを選ぶだけの繰り返し作業になってしまいます。
それでは恐らく全然面白くないはずなので、時にはいつもやっているやり方を疑ってみたりして、前回の自分とは違うことをやってみるのも良いと思います。