建物の構造が鉄筋コンクリート造である場合には、どのような部分に気をつけて納まりの検討を進めていけば良いのか。
というあたりの具体的な話をこのカテゴリでは細かく説明していこうと思っています。
そうした詳しい情報を知るには、やはり鉄筋コンクリート造の基本的な考え方と施工の流れを理解しておくことが一番の近道でしょう。
と言うことで、今回はそのあたりについて色々と考えてみる事にします。
建物というのは「そこに問題なく建っている」だけではダメで、建物が求められる役割を果たす為には見た目や使い勝手なども大きな要素となってきます。
そうした事を考えていくと、建物というのは構造体をどうするかだけを考えれば良い訳ではない、という事が分かってくると思います。
人が通る部分の通路巾や階段の巾などの法的な条件をクリアすることや、人の動線をシンプルにして使い勝手の良い建物にしていくこと。
また、建物の見た目を周囲と調和させるようなデザインを考えたり、逆に大きく目立たせるようなデザインを考えたりなど、様々な要素を検討していくことが求められます。
こうして建物について様々な角度から総合的に考えていく事が設計者には求められます。
しかしそうした検討はあくまでも構造体の検討が完全である事が前提。
もう少し具体的に言うと、地震や台風などによって建物の外部からかかる力や、建物自体の過重とか家具や人などの過重に対してしっかり耐えられるという事が前提です。
建物の骨組みがしっかりしていることがまずは大前提としてあって、それから先の要素として、使い勝手やデザインなどの要素がある。
建物についての要素を優先順位で考えるとそのような感じになります。
そういった意味で考えると、建物の構造は、建物がそれぞれ求められる用途に応じて存在する為のもっとも基本的な要素だと言えます。
建物の構造について検討するという事はつまり、そうした建物の基本的な要素について検討していくという事を意味している訳です。
ちょっと変な表現になってしまいましたが、建物の構造体というのは、建物にとって最も根本的な要素だという話でした。
使い勝手やデザインについて考える前の段階として、まずは構造がしっかりとしていないと何も始まらないという事ですね。
このように、建物の構造として重要な役割を果たすRC造の骨組みではありますが、結局最終的には様々な仕上材の奥に隠れて見えなくなってしまうことが多いです。
構造体であるRC柱やRC梁などが人の目につく部分に出てくるのは、建物の見た目について考えた時にあまり嬉しくない事なんですよね。
構造体である鉄筋コンクリートが表面に見えたままの状態というのは、見た目としてはそれほどおかしなものではありません。
むしろちょっと格好良くて洗練されたイメージもあるので、コンクリートの表面を綺麗に見せることを好む設計者も多いです。
ただしそれは一部の話であって、基本的にはコンクリートの表面は無骨な印象を与えるので、美しい仕上材で隠すことを考えるのが一般的です。
単純にコンクリートを打設して型枠を解体しただけの状態は、以下の写真を見て頂ければ分かると思いますが、あまり綺麗なものではないんです。
見せる事を考えると、以下のようにもっと見た目を美しく整えることは出来ますが…
こうした見た目にすると色を付ける訳にはいかなくなるなどがあるので、最終的にどう見せるのかをしっかりと計画しておく必要があります。
そんなRC造の構造をどのような手順で施工していくのかというと、かなり大雑把な項目で区分してみると以下のような手順になります。
・コンクリートを流し込む為の型枠を組み立てる
↓
・型枠の中に入れ込む鉄筋を組み立てる
↓
・コンクリートを型枠に流し込む
↓
・コンクリートが硬化するまで待つ
↓
・型枠を解体する
こうした鉄筋コンクリート造の施工手順についてまずは知っておき、それを踏まえて納まりのポイントなどを調べていく事にしますが…
そのあたりの話は次回に続きます。