前回は鉄筋コンクリート造を構成する重要な部材のひとつとして、鉄筋についての簡単なイメージを紹介してみました。
引っ張る方向の力に対して弱いコンクリートを補強するため、引っ張る方向の力に対して強い鉄筋をコンクリートと併用していく、というような話でした。
鉄筋とコンクリートがお互いの欠点を補い合うことで、様々な方向の力に抵抗する構造体となる事が出来る。
これが鉄筋コンクリート造の基本的な考え方になっていて、結局最終的には隠れてしまう部材ではありますが、鉄筋は構造体として非常に重要な役割を担っている事になります。
また、納まりとしてはS造やSRC造などに比べると、比較的分かりやすい部分が多いので、まずはRC造の納まりを覚えた方が良いという話もありました。
もちろんRC造が簡単だという話では全然ないのですが、鉄骨などの専門的な部分から入るよりも、コンクリートの方がまだ分かりやすいので…
S造に比べるとRC造の方がまだ勉強しやすいので、まずはRC造から覚えていき、その後でS造について勉強していく。
このような考え方は、実際に様々なパターンの構造体について経験したことがある方であれば、よく分かって頂けるのではないかと思います。
S造・SRC造で使用される鉄骨という部材は、鉄骨の規格などに関する知識にプラスして、溶接のやり方などの深い知識がどうしても必要になってくるんです。
そうなると少々スタート地点の敷居が高いというか、鉄骨にはうかつに手を出しにくいというイメージがあるので、まずは覚えやすい構造から始めた方が良い、という考え方です。
もちろん最終的には全部の構造について覚えることになるはずなので、長い目で見ればどの順番でも変わらないのですが…
そうはいっても最初から難しい話では躓いてしまうので、まずはRC造についての話から覚えていくことにしましょう。
鉄筋コンクリート造(RC造)の大きな特徴は「現場でコンクリートを固めて建物の骨組を造っていく」という部分にあります。
コンクリートを固めるということは、柔らかい状態のコンクリートを流し込む為の器が必要になって、それを事前に用意しておくことがまずは必要になってきます。
このあたりの手順がRC造のメリットでもあり、逆にデメリットでもあると言えます。
「現場で」という部分がポイントで、実際にコンクリートを打設するまでにかかる手間が大きいという部分と、コンクリートを打設するまでにある程度時間があるという部分。
このあたりが鉄筋コンクリート造の大きな特徴だと言えるでしょう。
また、たとえS造の建物を計画していたとしても、地下や基礎などの土に面する部分については、鉄骨ではなく鉄筋コンクリートがどうしても必要になります。
建物の基礎というのは建物の過重を支持層である硬い地盤に伝えるために必要な構造で、基礎が持っているその特徴から、必ず土に面する部分が必要になってきます。
土というのは基本的に水分を含んでいるもので、そこに雨が降った場合などでは、土に含まれる水分量が大きくなっていくのは当たり前の事ですよね。
要するに外部に面している訳ですから、そこに構造体としての鉄骨が常にあるというのは、錆の問題があるので建物の構造としてはあり得ないということになる訳です。
だからこそ、S造であっても建物の基礎まわりはどうしてもRC造になっていて、結局はどのような構造の建物であっても、RC造の知識は必要になってくるはず。
あらゆる建物で鉄筋コンクリートの納まりは出てくることになってきて、RC造はどのような建物でも必要になる基本的な構造だと言えるでしょう。
また、鉄筋コンクリート造の基本をしっかり覚えておくと、その知識がそのまま鉄骨鉄筋コンクリート造で生きてくることに繋がっていきます。
基本が出来ていると応用が効く、ということですから、まずはこのカテゴリを読んで鉄筋コンクリート造の納まりを覚えておきたいところです。