今まで少し時間をかけて、施工図と総合図についての概要的な部分を説明してきました。
これまでの話でも結構なボリュームなのですが、細かい話にどんどん進んでしまうとさらに話が長くなってしまいそうな感じです。
それではちょっと終わりが見えない状態になってしまい、説明する側にとっても読む側にとってもあまりメリットが多くない状況になりそうな気が…
それだけ書きたい内容が多いということなので、悪い事ではないとは思いますが、ちょっと情報のバランスとしては良くない状態になってしまいそう。
話がなかなか進んでいかないのはあまり良い事ではないので、ここでは施工図についての話を切り上げて先に進めようと思います。
一通り話が出来たかなと思った時には、もう少しだけ書きたい内容について追記をしていければと思っています。
ということで、施工図と総合図についての話は前回で終わりにして、今回は製作図について考えてみる事にしましょう。
まずは「製作図とは何か」というそもそもの話から。
施工者側が作図する図面としてまずは施工図がありますが、施工図よりもさらに細かい部分を表現している図面として、製作図と呼ばれる図面が存在します。
施工図は施工図で充分に細かい部分について表現する図面になっているのですが、製作図は施工図よりもさらに細かい部分を表現する図面なんです。
「さらに細かい部分」が具体的に何を指しているのかと言うと、例えば外装のアルミ建具など、工場で製作して現場で取り付ける製品の細かい図面という事になります。
工場で製作する為の図面だから製作図という呼び方になる訳です。
設計をする為の図面として設計図があって、その情報をベースにして施工を進める為の図面として施工図がある、という話は以前からしてきたかと思います。
そして、その施工図をベースにして工場で製品を製作するための図面として製作図がある、という割とシンプルな話になります。
今まで説明してきた図面の種類を、図面の細かさという視点で細かい順に並べ替えてみると、以下のような関係になってきます。
・製作図
・施工図
・設計図
設計図の情報をベースにして、さらに具体的な情報や検討結果などを盛り込んだ図面が施工図になっている、という話は先ほども書いた通りです。
その施工図をベースにして、さらに細かい部分の関係を検討した図面が製作図になる、というような関係性になります。
施工図が設計図をベースにしているのと同様に、製作図は施工図と設計図をベースにして作図される事になります。
具体的な寸法などは施工図を参考にして、製品の仕様などの情報は設計図を参考にしていく、というような使い分けがそこにはあります。
建物を造っていく為には、設計図のように建物全体で考えることも重要だし、製作図のように細かい部分について緻密に考えることも同じく重要。
なので、どの図面が優れた図面だとかいう話ではなく、それぞれの図面ごとに与えられた役割があるので、それぞれがその役割を果たしていくことが求められます。
検討が具体的になるほどに、図面は少しずつ具体的で細かくなっていく訳で、建物の情報は以下のような流れで進んでいく事に。
1.設計図(建物の基本方針となる図面)
↓
2.施工図(設計図をベースにして施工を具体的に進める為の図面)
↓
3.製作図(設計図と施工図をベースにして製品を工場で製作する為の図面)
情報が進んでいくに従って図面の内容は細かくなっていき、それによって建物を具体的に造っていく際の手戻りを少なくする事が出来る。
そうした流れを意識すると、製作図という図面は建物のほぼ最終形を具体的に表している図面だという事も言えると思います。
次回は製作図についてもう少し具体的な説明を続けてみます。